「会議は必ず予定通りに終える」時間をムダにしない工夫

LIPでは、清水さんが携わっている途上国のマイクロファイナンス支援のほか、国内の児童養護施設で暮らす子どもの支援、日本に住む難民の自立支援なども行っています。NPOとしては珍しく、LIPにはフルタイムのスタッフがいません。126人のメンバー全員が清水さんのようなプロボノで、本業を持つビジネスパーソンとして社会貢献活動を行っているのも大きな特徴。では皆さん、どのようにして本業との両立を可能にしているのでしょう?

「ミーティングのやりかたひとつ取っても工夫されています。まずは、1時間なら1時間と時間を決める。そして、そこでぴったり終わることが多いですね。事前に『このミーティングのアジェンダはこれとこれで、これは何分、これには何分かけましょう』と時間配分も定めます。さらに、ミーティングでは結論を出すのか、アイデア出しだけにするのかといった、ゴールまで決めるんです。きっちりタイムキープしてくださる方もいて、いい意味でカルチャーショックを受けました」

仕事と違い、プロボノの活動は給料が発生しませんし、残業の概念もありません。全員が、何らかの強い「思い」を持って参加しているので、時には議論が白熱することもあるでしょう。しかし、それぞれが忙しい本業の合間を縫って参加しているわけです。そのため、時間を大切にし、効率性を重視したさまざまな工夫が行われているようです。

LIPが支援している、ミャンマーでマイクロファイナンスを行うMJI
写真=Living in Peace提供
LIPが支援している、ミャンマーでマイクロファイナンスを行うMJI

上下関係ナシ、根回しナシの文化

本業では一からプロジェクトを立ち上げる機会がなく、スピード感を持ってゼロからプロジェクトを形にしていくLIPの活動に刺激を受けたと清水さん。組織としての風土も本業の金融機関とは大きく異なり、自身の思考も少しずつ変化していったといいます。

「LIPには上下関係がなくて、その時々によってリーダー的な役割をする人はいますが、決まった人が差配することはありません。『こんなことをやってみたい』と思ったら誰でも提案できますし、『根回しをしない』文化もあります。すべてのやり取りは、全員にあてたメールとビジネスチャットツールのSlack(スラック)で公開されているので、プロジェクトの立ち上げから完了まで、誰でも見ることができるし、参加もできるんです」

LIPが支援している、ミャンマーのMJIからマイクロファイナンスのサービスを受けている女性
写真=Living in Peace提供
LIPが支援している、ミャンマーのMJIからマイクロファイナンスのサービスを受けている女性