ポイントは「主体性」を意識すること
ここまで読んで、「ニヤニヤ」という表情の作り方がわからない、あるいは「ニヤニヤ」するなんて嫌だ、と思った人もいるかもしれません。
結論からいうと、ここでもっとも重要なのは「ニヤニヤする」という意識「自分は今、ニヤニヤしてるんだ」という感覚です。逆にいうと、「私はニコニコしているのではない!」と自分で感じられていることが、このメソッドの重要ポイントです。
なので、実際の表情自体は「ニコニコ」とあまり変わりません。
「主体性のある微笑み」という意識――「誰に見られるためでもなく、自分のなかで何か愉快なことやおもしろいことがあるから、ひとりで笑みを浮かべているだけのことだ」ということを「意識」する。
すると、それほど大きく「ニヤニヤ」しているわけでなくても、あなたがまとう雰囲気自体が「強者の微笑み」になるのです。誰もあなたの心に土足で踏み込むことはできなくなり、人間関係の主導権も取り戻すことができます。
このように意識、感覚がもっとも重要なのですが、振る舞いのコツを挙げるとしたら、目線は真っ直ぐか、それ以上にすること。下を向いて上目遣いにニヤニヤすると、嫌な感じになる場合があります。
「目線は真っ直ぐか、それ以上」と心がけると背筋も伸び、いっそう意識から強者になれるでしょう。
また、ニヤニヤは必ずしも大きく笑う必要はありません。まずは歯を見せない「ニヒルな微笑み」から始めてみましょう。
レッドカーペットを歩くスターは「ニヤニヤ」のプロ
変わった戦術だと思ったかもしれませんが、実のところ、「ニヤニヤ」は万能といってもいいくらい効果の高い戦術です。
「ニヤニヤ」していると、それだけで周りの目には「堂々とした個性のある人」に映り、決して哀れに思われることもありません。それどころか、そんなあなたに魅力を感じ、憧れる人も少なからず現れるでしょう。
最初は意識が必要かもしれません。でも、このように効果は絶大ですから、まず、やってみてください。「人前でニヤニヤしてもいいんだ」と思えれば、その思考も自信につながり、心を強くしてくれます。
「ニヤニヤ」がイメージしづらい人は、各国の映画祭などでレッドカーペットを堂々と歩く俳優たちを見てみてください。彼らは基本的に「ニヤニヤ」しています。「ニコニコ」はしません。自分に「自信」のある人は、自然と「ニヤニヤ」になるものです。
この認識をもった上で、練習をしてみましょう。
芸能人でも映画の主人公でも誰でもいいので、とにかく心に余裕のありそうな人がいつも浮かべている不敵な笑み。周囲にまったく媚びておらず、ただ自信や尊厳を感じさせる微笑み。まさしく「強者の微笑み」を、テレビや映画で目にする人たちからインストールして振る舞っていると、その人たちの心の余裕が、あなたの心にもコピーされていくはずです。
1976年生まれ。典型的なモラルハラスメントの関係にある両親の元に生まれ、幼少期を過ごす。その経験を通して、モラルハラスメントをする人、される人の心理を知り、その後徐々に、周囲の同様の環境にある人たちに、モラハラ対処のアドバイスをするようになる。現在は、世の中の離婚できない事情のあるモラハラ被害者を対象に、モラルハラスメントの被害を受けないためのメソッドを伝えるため、「離婚しないモラハラ対策カウンセラー」として、個人カウンセリングや各地での講演等の活動をしている。著書に『離れたくても離れられないあの人からの「攻撃」がなくなる本』(SBクリエイティブ)。