アラフォー世代におすすめのカメラアプリ5つ

【原田】次に、自撮り以外の写真を上げる時、加工に不慣れな人におすすめのアプリはある? 初心者も簡単に「ちょうどいい加工」ができるものを挙げてもらえるかな。

【斎藤】「Huji cam(フジカム)」っていうカメラアプリがおすすめです。撮影するだけで勝手に自然な加工がされて、使い捨てカメラの「写ルンです」風の写真になるので、30〜40代の人にはなじみやすいと思います。若者の間でも「盛らない写真が撮れる」「人と差別化できる」って人気ですよ。

【安田】「Ulike(ユーライク)」もいいと思います。微調整ボタンで加工の度合いをいじることができて、ちょうどいい加工が簡単にできます。あらかじめ自分で加工度合いをカスタム設定しておけば、撮影の時もいちいちいじらなくて済むので楽ですよ。SNSに上げる写真を撮る時は、友達に自分の携帯を渡して、その設定で撮ってもらう子も多いです。

【工藤】盛っている写真を見慣れていない人は、自分で盛り具合を調整するよりカメラアプリに任せたほうが楽かもしれません。Ulikeもそうですが、「B612」や「SODA(ソーダ)」も、アプリを起動した時点で自然に見える補正がかかっている。自分で設定するのが不安だったら、こうしたデフォルト設定があるアプリが使いやすいと思います。

【高杉】写真の雰囲気をつくったり、色合いを加工したりするなら「VSCO(ビスコ)」が使いやすいですよ。その写真におすすめのフィルターが自動で出てくるので、そこから微調整していけば不自然な感じにはならないんじゃないかな。インフルエンサーもよく使っているみたいだし、精度は高いと思いますよ。毎回同じフィルターを使えば、自分のSNSの世界観も統一しやすくなるのでおすすめです。

自然に盛るか、エンタメを目指すか

【原田】おすすめのアプリがたくさん挙がったね。僕みたいに加工に慣れていない人は、無理に盛ろうとするよりこうしたアプリを使ったほうがよさそうだと思ったよ。「頑張ってる感」が出るぐらいなら無加工のほうが、若者にはむしろ好感度が高いわけだしね(笑)。

単に「撮った」「盛った」写真は、若者にはすでに古くさく見えているようです。座談会で出た意見からは、盛っていることを感じさせないぐらい「自然に盛る」、またはエンタメとして成立するぐらい思い切った加工をするのがよしとされている様子がうかがえました。

特に、被写体だけをアップで撮るのではなく、世界観を出すことが大事だという点は、非常に興味深く感じました。今後、若者をターゲットにした企業SNSを運用する際には、この点を押さえておくことが重要なポイントになりそうです。

構成=辻村 洋子

原田 曜平(はらだ・ようへい)
マーケティングアナリスト、芝浦工業大学教授

1977年東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーを経て、現在はマーケティングアナリスト。2022年より芝浦工業大学教授に就任。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。主な著作に『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』(幻冬舎新書)、『パリピ経済 パーティーピープルが経済を動かす』(新潮新書)、『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』(光文社新書)、『寡欲都市TOKYO』(角川新書)、『Z世代に学ぶ超バズテク図鑑』(PHP研究所)などがある。