途上国の女性と子どもを守る
ジョイセフ
公益財団法人(国際協力NGO)

望まない妊娠により、自分の人生を諦めざるをえない女性たちがいる。妊娠から出産までの過程で亡くなる女性は1日800人以上。18歳未満で結婚する少女は1日3万3000人。今もなお、女性であるがゆえに命や健康が危険にさらされ、さまざまな差別に直面する人たちがいる。

アフガニスタンのクリニックでの診療の様子。(写真提供:ジョイセフ)
アフガニスタンのクリニックでの診療の様子。(写真提供:ジョイセフ)

そんな女性の命と健康を守り、すべての女性が自由に性・妊娠・出産・避妊を選択できる社会を目指しているのが、1968年、日本で誕生したジョイセフだ。創設者の國井長次郎さんは、戦後日本の復興過程で、予防医学、家族計画、母子保健の普及に努め、妊産婦や乳児の死亡率を世界トップレベルにまで低下させることに寄与した。その経験とノウハウを生かし、これまでに世界39カ国で活動を行っている。

女性が人生を選択するために心身の健康と正しい知識を

ミャンマーでは、母子保健推進員を養成し、妊産婦や母子を支援している。(写真提供:ジョイセフ)
ミャンマーでは、母子保健推進員を養成し、妊産婦や母子を支援している。(写真提供:ジョイセフ)

例えばザンビアでは、10代女性の23.3%が妊娠している。しかし、知識不足やアクセスの悪さなどから、妊婦健診を受けない人が多く、保健施設で出産できない人も半数以上いる。ジョイセフのプロジェクトでは、保健施設から離れた場所に住む妊婦が宿泊できる待機所を設置するなど、安心して出産できる体制を整えるだけでなく、若年妊娠、性感染症、性暴力を予防するためのプログラムを展開。

その先も、地域住民が村の保健施設と連携し、自分たちの命と健康を守る活動を主体的に実施・維持できるようになることを目指している。「女性と少女たちが自分の人生を選択するためには、適切な情報と知識を身につけ、生かしていくことが大切です」と理事長の石井澄江さんは語る。

現在は、日本国内で孤立する女性の支援にも力を入れている。活動を支えるのは、寄付やイベントへの参加のほか、女性として同じ目線で考えることだ。