日本の医療を支える
日本赤十字社
献血=輸血というイメージを持つ人も多いのではないだろうか。実際は、献血された血液全体のうち、輸血用血液製剤となるのはおよそ半分で、そのほとんどががんなどの病気の治療に使われている。残りの半分は血漿分画製剤という医薬品の原料となる。血漿分画製剤は、感染症、血友病などの治療に用いられるが、近年、必要とされる量が急激に増加している。
そもそも血液は、酸素や栄養を体の隅々にまで運ぶ重要な役割を持ち、人間の生命を維持するために欠かせないもの。しかし、どんなに医療技術が進歩しても人工的につくることはできず、長期保存することもできない。輸血を必要とする人だけでも年間約100万人はいるとされ、安全な血液を多くの患者に安定的に届けるためには、1日に約1万3000人が献血に協力する必要がある。少子高齢化が進む中、10~30代の献血者数は、この10年で約37%も減少しており、このままでは血液の安定供給に支障をきたすおそれもある。
一瞬の痛みと15分間。それで救える命がある
日本赤十字社では、献血する人・輸血を受ける人の健康と安全を守るために、採血に関してのさまざまな基準を設けている(詳細はホームページ)。この採血基準を満たしている健康な人なら誰でも献血が可能だ。当日の体調や既往歴などを考慮して、最終的に医師が判断をする。
採血時間は、全血献血(400ミリリットル・200ミリリットル)は10~15分、成分献血(血小板成分・血漿成分)は採血量に応じて40~90分程度。針を刺す瞬間はチクッとするが、採血中に痛みが続くことはない。血圧や血色素量(ヘモグロビン濃度)は体調によっても変わるので、以前、献血ができなかった人も、可能な範囲で再挑戦してみてほしい。その温かな血が医療を支え、命をつなぐのだから。