お金の継続寄付で、子どもの可能性をのばし、豊かな地域をつくる

プラン・インターナショナル・ジャパン
公益財団法人
津田恵美さん

「女の子だから」家事労働させられる、学校に行けない、早すぎる結婚を強いられる──。途上国の女の子に対する支援の必要性を訴える「Because I am a Girl」のポスターや動画を見たことがある方も多いのではないだろうか。

6月にはウガンダに逃れた「南スーダン難民の保護と衛生改善プロジェクト」のオンライン報告会「プラン・ラウンジ」が行われた。親と離別した難民の子どもたちに向けては、安心して遊べる子ども専用エリアを作りケアにあたっている。
「南スーダン難民の保護と衛生改善プロジェクト」のオンライン報告会「プラン・ラウンジ」が行われた。親と離別した難民の子どもたちに向けては、安心して遊べる子ども専用エリアを作りケアにあたっている。(写真提供:国際NGOプラン・インターナショナル)

強烈なメッセージを放つ同キャンペーンを展開するのは、子どもの権利を推進し、貧困や差別のない公正な社会を実現するために世界70カ国以上で活動する国際NGO、プラン・インターナショナル(以下、プラン)だ。日本事務局は1983年に設立(※)し、2011年に公益財団法人として内閣府から認可された。

複数ある支援方法のなかの基盤となるのは、毎月3000円から定額寄付を行う「プラン・スポンサーシップ」。支援者は支援先の地域に住む1人の子ども(チャイルド。男の子も含む)と手紙で交流を図りながら、チャイルドが18歳になるまでその成長を見守る。もちろん、途中で支援が難しくなったときの中止も可能。チャイルドが18歳になったら、新しいチャイルドが紹介される(その際、国や地域が変わることもある)。

支援者へ手紙を書くチャイルドたち。
支援者へ手紙を書くチャイルドたち。(写真提供:国際NGOプラン・インターナショナル)

この支援で特徴的なのは、寄付したお金が交流しているチャイルドに直接渡るのではなく、プランがその地域で行う、地域の課題を総合的に解決するプロジェクトに使われる点だ。日本のプランの広報マーケティング部の津田恵美さんに理由を尋ねると、「その子だけがお金持ちになっても、地域がよくならなければ問題解決にならないからです」という答えが返ってきた。

「例えば井戸がなければ遠い川まで水くみに行かなければなりません。往々にしてそれは女の子の仕事で、水くみのために学校に通えず、家事労働をさせられたり、早すぎる結婚につながる地域もあります。だから私たちの活動では、現地の人たちで地域に必要なことを話し合ってもらいます。プラン・スポンサーシップへのご寄付はそれを実現するプロジェクトに使われます」

地域に根差した活動を続け男性にも聞く耳を持ってもらう

しかし、そうなると子ども(特に女の子)、障害者といった弱い立場に置かれている人のことは後回しにされないだろうか。それを回避するため、プランではスタッフが長い年月をかけて地域の人との信頼関係の構築に力を入れているという。

「行政や地域のリーダーなどの男性たちと関係性を築き、彼らを巻き込んだうえで、子どもたちの参加も促して話し合います。女の子が1年長く初等教育を受けることで、将来の収入が11%増加するといったデータなどを交えて話すことで、『うちの娘には家事労働より教育を受けさせる』という人が増えていくんです」

南スーダン難民への支援物資を届けるプランの現地スタッフ。
南スーダン難民への支援物資を届けるプランの現地スタッフ。(写真提供:国際NGOプラン・インターナショナル)

支援者に手紙を書き、近況を報告するチャイルドは地域の話し合いで決まるが、なるべく最貧困層の家庭から選ぶ。そうすることで、プランのスタッフの目が行き届きやすくなり、なにかあったときにすぐに相談にのることができるからだ。

世界196の国や地域のうち、途上国は146カ国。全人口の約74%にあたる約57億人が途上国に暮らしているとされている。SDGs(持続可能な開発目標)が叫ばれるいま、途上国の抱えるさまざまな問題にも目を向けたい。

※日本事務所設立時の名称はフォスター・プラン