スポーツの成績とお小遣いを連動させる弊害とは

スポーツの成績とお小遣いを連動させるのも注意が必要です。子どもが野球やサッカーをしている家庭では、「試合で得点したらお小遣いを渡す」報酬制を取り入れるケースがあります。とくに父親が熱心なケースが多いようです。

この場合、デメリットもあります。たとえば、サッカーなどではチームワークで得点を目指すのが普通です。しかし、お小遣い欲しさに、自分勝手なプレーになってしまいがちです。チームメートにはパスをせず、自分がゴールすることばかり考えてしまうのです。

子どもにすれば、自分がゴールすることで父親が喜んでくれますし、お小遣いも手に入るのですから、モチベーションは上がるでしょう。しかし、チームメートとの関係は悪くなってしまいます。

教育関係者には報酬制のお小遣いを否定する人が少なくありません。「目の前にニンジンをぶら下げて走らせるのはよくない」との考え方です。もちろん、それも一つの考え方ですが、報酬制もデメリットを克服して導入できると、家庭内で働く大切さを実感できます。絶対的な正解はありませんから、ご両親がよく考えて失敗しないように取り入れるといいでしょう。

お小遣いはいつから渡すのがベストか

お小遣いはいつから渡すのがいいか、との質問もよく受けます。一般的には小学校3、4年生あるいは中学に入学したのを機に渡す家庭が多いようです。塾に通うようになり、1人で行動したり、友達同士で出かけたりするようになったことをきっかけにお小遣いを渡すケースも少なくありません。

早くからお小遣いを渡したからといって害があるわけではありません。小学校1、2年生からでも構わないでしょう。

子どもに欲しいものがありそうなら、お小遣いを決めて、その中で管理させるのも効果的です。その際には、お小遣いは何に使うのか、おおよそ親子で決めておくのがお勧めです。友達と遊ぶときに使うのか、文具もお小遣いで買うのか、などを相談しておくのです。

いままで通り、必要なものには、すべて親がお金を出しているにもかかわらず、お小遣いを渡しても意味がありません。子どもに任せるモノを決めて、そのために必要な金額に少しプラスアルファする形で金額を決めましょう。

そして、一部余った分は貯めていく習慣をつけるのがいいでしょう。お金を貯めることの大切さを学べるのもお小遣いのいいところでです。ただ、「貯めることが美徳」ではないことを伝えることも大切です。

お金を貯めておくと、まとまった金額になり、欲しいものが買える、やりたいことができる、そのことを実感することが大事です。その意味では、最終的にどう使うか、目的を決めて貯蓄するのがいいのではないでしょうか。

八木 陽子(やぎ・ようこ)
キッズ・マネー・ステーション代表 ファイナンシャルプランナー

上智大学外国語学部卒後、編集者を経て2001年ファイナンシャルプランナーを取得。海外でファイナンシャルリテラシー教育を視察した経験を活かし、子供向けマネー教育の普及に努める 。著書に『10歳から知っておきたいお金の心得〜大切なのは、稼ぎ方・使い方・考え方』など。