子どものお小遣いを報酬制にして、お手伝いをしたらお金を渡す。働くことの大切さを教えるのにはよい方法ですが、お手伝いがお金目的になってしまう心配もあります。報酬制の小遣いはいいのでしょうか、キッズ・マネー・ステーション代表の八木陽子さんに解説してもらいました――。
貯金箱に硬貨を入れる小さな男の子
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お金目的のお手伝いにならないためのコツ

お小遣いを報酬制にしてもいいか――。そんな質問を受けることは少なくありません。報酬制とは、「お手伝いをしたら○円」と条件を決めて、お小遣いを渡す方法です。

何もしなくても、毎月決まった金額がもらえるお小遣いは、労働の対価という世の中の仕組みとは違います。何もせずにお金をあげるのは、不労所得のようなものです社会に出ると、不労所得などほとんどありません。その意味で、お小遣いを報酬制にして、働くことの大切さを子どものときから実感させるのは、いいことだと思います。

しかし、導入に失敗すると逆効果にもなりかねませんので、慎重に考える必要があります。

たとえば、お手伝いを報酬の条件にすると、お手伝いがお金目的になってしまい、人の役に立つ喜びが薄れてしまうでしょう。お手伝いを条件にする場合には、「お手伝いをすることは家族の一員として当たり前」であることを教えることが重要ですし、お手伝いをしてくれたときには「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えることを忘れてはいけません。

わが家でも以前、報酬制のお小遣いを取り入れたことがあります。お風呂掃除をしてくれた日は、カレンダーに丸をつけておき、1カ月に一度、清算する形にしました。固定のお小遣い500円にお風呂掃除の分を加えて渡していました。

このとき、子どもには、「家の手伝いをするのは当たり前だけれど、お風呂掃除だけは仕事とみなす」ことを明確に伝えました。その後、子どもが中学生になり部活が忙しくなったためやめましたが、仕事を継続する大変さは伝わったとうまくいったと思っています。