仮想通貨は政府がコントロールする
ビットコインをはじめとする仮想通貨の未来については、ブロックチェーンとはまったく別物だ。将来的にすべての通貨はデジタル化され、コンピューター上で取引されるだろう。そうなると今取引されている仮想通貨はどうなるだろうか?
ここ数年、中国に行くと、もはや現金でタクシーの支払いはできない。少し前に北京でアイスクリームを買ったときも現金は受け取ってもらえず、中国の電子マネーであるWeChat Payは、まさに生活に必須となっている。これによって国民の消費動向を細かくモニターできるため、中国政府はキャッシュレス化に大賛成なのだ。
そもそも、国が紙幣を印刷し、流通させるだけでも膨大なコストがかかる。紙幣の管理には非常に手間がかかり、政府はそれが何に使われるのか監視をすることができない。しかし、デジタル通貨はコストを削減できる上、監視できるので政府としては非常に便利なのだ。
私は監視されることは個人的に嫌いだが、すでにいくつかの国では起きていることで仕方ないことだ。
デジタル通貨は、政府がコントロールすることになる。歴史を見ても大半の場合は、政府が通貨を独占しており、政府は通貨を制御できないことを嫌うものだ。
仮想通貨の参加者は「私たちは政府より頭がいい」と言い張る。私はそれを疑わないが、政府は銃と法律を持っているので彼らは逆らえない。
ビットコインの価値はいつかゼロになる
100年前には、誰もが好きな物を通貨代わりに使えた。しかし80年前にイギリスの中央銀行が「私たちが発行する紙幣以外のものを使えば反逆罪で処刑する」と宣言した。誰も処刑されたくないから、皆が他の通貨を使うのをやめた。
仮想通貨も同じだ。通貨として価値が認識され、成功し始めたら、各国の政府がすべての仮想通貨を独占するだろう。現在はさまざまな人が仮想通貨を売買しており、価格が急騰している。彼らから見れば投資かもしれないが、私にとってはバブルの予兆であり、ただの投機のように感じる。
今はただバブルの時期である。誰かに「ビットコインの価値は?」と聞いても、大半は具体的に答えられないだろう。しかしながら彼らはビットコインを持っている。私自身、今家にある銀の盃がいくらするかははっきりとはわからないが、ビットコインよりは材料の価値がわかっているつもりだ。
今、ビットコインに投資したい人へのアドバイスとしては前述のGAFAと同じだ。自分がすごい短期トレーダーであると思うなら、売買してみればいいだろう。
私がウォール街で働いていた頃の元同僚にも素晴らしいモメンタム・トレーダーがいた。彼はしょっちゅう何を取引していたかもわからずに売買を行っていた。それできちんと成功していたのだ。彼は何十年も取引をしているうちに、詳しいことを調べなくても株がいくら出回っているのかなどの具体的な情報を感じ取ることができるようになったのだろう。
ビットコインをまともに取引するにはこれくらいのトレーディングができる人でないといけないだろうと思う。実際は、普通の個人投資家が売買しているようだが、私はそういう人にはビットコインの取引は勧めない。いつか上がるだろうと持ち続けていても、やがて仮想通貨は政府に独占されてしまうからだ。
その結果、価値はいつかはゼロになると私は見ている。反逆者たちは結局、政府には勝てないのが世の常なのだから。