ブロックチェーンについてしっかり勉強すべし
すでにバブルになっているハイテク企業に投資する気はしないけれど、新しいテクノロジーはいつだって世界を変化させる可能性に満ちている。例えば固定電話。今でこそ誰も見向きもしないが、100年ほど前は、最先端の技術だと思われており、人々のあこがれの的だった。
そんな意味で、最近新しく生まれた技術の中で、私は「ブロックチェーン」について、非常にポジティブに考えている。ビットコインの根幹の技術には素晴らしい未来があり、今後、最も面白い分野だと思っている。
ブロックチェーンは参加者全員がすべての取引記録を共有し、改ざんなどができないようにする「分散型の取引台帳技術」だ。金融はいうまでもないが、不動産や医療などあらゆる業界で既存システムがブロックチェーンに置き換わる時代が来るかもしれない。
多くの人を熱狂させているブロックチェーンの技術は、私たちの常識を覆し、いま存在するさまざまな仕事を破壊するだろう。電気が発明されたときもさまざまな仕事がなくなったが、その後は違う職種も出てきた。今後また同じことが起こるだろう。
各国政府はブロックチェーンに対して、すでに積極的な姿勢を示している。たとえば、デジタル人民元の発行が近いと言われている中国では、国を挙げて産業育成に舵を切り始めている。
まだ模索している段階ではあるが、日本をはじめとする6カ国の中央銀行と国際決済銀行(BIS)も中央銀行デジタル通貨(CBDC)の議論を進めている。今後は金融業界だけではなく、非金融業界にも応用が進んでいくだろう。
ブロックチェーンの本質は、情報の不正や改ざんができない信頼性にある。戸籍などもブロックチェーンを使ってオンライン・システム上で管理することによって、さまざまな認証ができるようになる。今後はブロックチェーンや人工知能(AI)の知識を持つ人が成功することになるだろう。この分野については興味があればしっかり勉強することをお勧めしたい。
誰も銀行に行かなくなる
これから紙はどんどん消えていく。昔は株式を売買するときは、紙にオーダーを書いて、ベルトコンベアーに乗せて誰かに渡されてから証券取引所に届けられていた。株だけではなくほとんどの取引や仕事に紙が必要だった。
しかし今はパソコンやスマートフォンを操作すれば、すべてのことができるようになった。一件のオーダー執行に必要な人数は、当時の何十人からすでに数名程度に減った。今後一人もいらなくなるかもしれないし、AIやブロックチェーンは紙幣や紙絡みの職業をどんどん破壊する。
今後、何百万人もの銀行員たちが仕事を失うことになるだろう。多くの銀行は、統廃合をされる可能性があり、今後はどうなるのかわからない。私たちの子どもは、大人になったときに銀行に行くことはないだろう。ブロックチェーン等の技術革新は、多くの人を豊かにすると同時に多くの人から仕事を奪うことになるだろう。
でも、過度に悲観することはない。電気やコンピューターの発明も同じようにさまざまな職種をこの世からなくした。しかし、同時に新しい機会と新しい仕事を生み出した。プログラマーという職業やソフトウェアという巨大な産業が過去の仕事に取って代わったのだから。