iDeCoは運用益非課税のメリットも

iDeCoは、一定の範囲で掛金を出し、60歳以降、年金や一時金として受け取るものです。掛金は、投資信託や預金、保険商品などから、自身で選んだ商品で運用され、その運用成果によって受け取る額が決まります。掛金は月額5000円以上で、上限は職種などによって異なり、自営業やフリーランスでは月額6万8000円が上限です。

国民年金基金と同じように、掛金は全額、所得から控除され、所得税や住民税が安くなります。さらに、通常、預金の利子や投資信託で得た利益には約20%の税金がかかりますが、iDeCoの運用で生じた得た利益は非課税です。

iDeCoは会社員や公務員でも利用できますが、現状では勤務先の年金制度などによって加入できないケースがあります。2022年からはほぼすべての会社員が加入可能となるので、フリーランスの人が将来、会社員になった場合なども、iDeCoでの年金づくりを続けることができます。

国民年金基金とiDeCo、どちらがいいか

国民年金基金とiDeCoは、両方に加入することもできますが、掛金は、2つ合わせて月額6万8000円までです。どちらかに加入するか、あるいは両方に加入するか、どのように考えればいいでしょうか。

国民年金基金は受け取る額が決まっているのに対し、iDeCoは選択した商品の運用実績によって受取額が決まり、運用がうまくいけば受け取れる額は多くなる仕組みです。長期間、積み立て投資ではリスクを抑える効果も期待できるため、投資信託で運用するのもいい選択です。とはいえ、運用のリスクをとりたくない、安心感を優先させたい、という人もいるでしょう。そういう人は、国民年金基金が適しているかもしれません。

手数料についても注意が必要です。iDeCoでは加入時、加入中、年金で受け取るときに手数料がかかります。国民年金基金にはそうした手数料はありません。国民年金基金は65歳(60歳の受け取りも選べる)、iDeCoは原則的に60歳までは受け取れませんから、スキルアップや結婚、住宅購入、子育て費用などの準備と並行して行うことになり、場合によってはそれほど多くの金額を年金づくりに充てられないケースもあるでしょう。そうした状況で国民年金基金とiDeCoの両方に加入すると、iDeCoの掛金は少額になり、相対的に手数料の負担が重くなる(掛金から考えて手数料が高くなる)ことも考えられます。

またiDeCoは一時金、または最長20年間、年金として受け取るのに対し、国民年金基金は一生涯受け取れる終身年金である、というのも大きな違いです(受け取り期間が一定期間のタイプもある)。長生きリスクに備える、という意味では、国民年金基金の終身タイプを選ぶことになりそうです。