小規模企業共済はさらに月額7万円まで掛けられる

もう1つ、知っておきたいのが、「小規模企業共済」です。

小規模企業の経営者や役員、個人事業主などのための退職金制度で、納めた掛金に応じて、将来、退職金(一時金)や年金として受け取ることができます。掛金は月額1000円~7万円の範囲で選択でき、納めた掛金は全額所得控除でき、所得税、住民税が軽減されます。また事業資金が必要な際など、納めた掛金に応じて、一定の範囲で資金の借入れもできます。

受け取り方は、廃業した場合(リタイアした場合)や死亡時に受け取る共済金A(一時金)、65歳以上で受け取る共済金B(180カ月以上、掛金を支払った人)、解約手当金など、複数の方法があり、もっとも受取額が多くなるのは共済金Aです。

例えば30歳の人が月額2万円、35年加入した場合、掛金合計は840万円。事業廃止などで共済金Aを受け取る場合の受取額は約1010万円となります。また掛金を支払っている間の節税効果は、年間約3万9000円です(課税所得200万円の場合の概算)。

小規模企業共済は、国民年金基金やiDeCoとは別に、月額7万円まで掛金を出すことができるため、より多くの所得控除を受けたい人は選択肢に加えましょう。

このように、自営業やフリーランスにも、年金を上乗せする方法はたくさんあります。所得控除のメリットは大きいので、収入が多い人は、メリットを上手に生かして年金づくりをしてください。国民年金基金、iDeCo、小規模企業共済とも、掛金は途中で増額したり、減額したりできるので、無理のない額からはじめて、収入が増えたら掛金を増やす、というのもいいでしょう。

私も個人事業主の1人です。国民年金基金と、小規模企業共済に加入し、国民年金と国民年金基金は老後の生活費として使い、いつか体調を崩すなどで完全リタイアしたら、小規模企業共済の共済金Aを医療費や介護費(ホスピスや有料老人ホームに入所する費用など)に充てる予定です。

井戸 美枝(いど・みえ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP認定者)

関西大学卒業。社会保険労務士。国民年金基金連合会理事。『大図解 届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)、『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください 増補改訂版』(日経BP)、『残念な介護 楽になる介護』(日経プレミアシリーズ)、『私がお金で困らないためには今から何をすればいいですか?』(日本実業出版社)など著書多数。