月5万円の投資で3200万円の老後資金を手に

同時に「人生100年時代」を展望する時、60代定年悠々老後の幻想を捨て去り、生涯現役のつもりで仕事を続けていく努力も怠れません。75歳まで仕事を続け、同時に公的年金受給を繰り下げられたならば、65歳から受給される年金金額の約1.8倍が生涯に亘って受け取れることになり、100年時代の老後に強い支えとなります。

そして毎月5万円の積立投資を75歳まで25年間地道に継続できたなら、世界の想定成長軌道に鑑みた普遍的グローバル株式投資信託の期待リターンを年率複利6%とすると、投資資金合計1500万円に対して25年後には3200万円程度に育っていると仮定できます。

そして75歳から先も引き続き長期投資を継続しながら、100年人生を踏まえて計画的に取り崩し活用していく。更には繰り下げた公的年金も豊かな人生づくりの強力な味方になることでしょう。

「人生100年時代」では50代はまだまだ若者です。人生の後半生を充実させるべく、昭和の常識と価値観から脱却するとともに、社会構造の転換を能動的に受容して、自ら行動を起こす勇気と意志の醸成が何より大切な時なのです。

中野 晴啓(なかの・はるひろ)
セゾン投信 創業者

1963年生まれ。東京都出身。明治大学卒業。1987年、現在のクレディセゾンへ入社。セゾングループの金融子会社にて債券ポートフォリオを中心に資金運用業務に従事した後、投資顧問事業を立ち上げ、運用責任者としてグループ資金の運用のほか、外国籍投資信託をはじめとした海外契約資産等の運用アドバイスを手がける。その後、クレディセゾン インベストメント事業部長を経て、2006年にセゾン投信を設立。2023年6月に代表取締役を退任。セゾン文化財団理事。著書に『最新版 つみたてNISAはこの9本から選びなさい』(ダイヤモンド社)などがある。