指導方法は、次世代リーダーに任せるが吉

実際に、人材育成で問題になるのが、「指導の任せ方」です。一度、次世代リーダーに指導を任せたら、うまくいっていないなと思ったり、もっとこんなやり方があるのにと思ったりしても、口出ししないで任せたままにすることです。そうなるのを想定して、(×)「このように指導してください」と方針を明確にすればよいと考えるリーダーが多いのですが、これはよくありません。もちろん、社内や部署のビジョンには従う必要がありますが、他は任せることです。

吉田幸弘『どう伝えればわかってもらえるのか? 部下に届く 言葉がけの正解』(ダイヤモンド社)
吉田幸弘『どう伝えればわかってもらえるのか? 部下に届く 言葉がけの正解』(ダイヤモンド社)

部下に対して先入観を持たせないこと、エースプレイヤーに自分で考えて部下指導をしてもらうこと。人材育成の大切なポイントです。人は、100人いれば考え方も100通りあり行動もそれぞれ違います。将来エースプレイヤーがリーダーになったときには、いろいろなタイプの部下を育成することになります。

人材育成には、数学などのように明確な答えがありません。(○)「指導方法は任せますよ」と指導方針を伝えず、部下が困ったら手を差し伸べるという方法がいいのです。

この「試行錯誤」が、次世代リーダーとしての成長につながります。実際のリーダーに昇格したとき、その効果が表れてくるでしょう。育成のためにも積極的に「試行錯誤」させていきましょう。

吉田 幸弘(よしだ・ゆきひろ)
人材育成コンサルタント・コミュニケーションデザイナー

1970年生まれ。大学卒業後、大手旅行会社、有名学校法人を経て外資系企業へ転職。そこで周囲のメンバーとうまくコミュニケーションが取れず、降格人事を経験する。その後、異動先で出会った上司より「伝え方」の大切さを教わり、「ポイントを絞ってわかりやすく伝える方法」を駆使して、劇的に営業成績を改善。社外でも営業コンサルタント・人材育成コンサルタント・コーチとして活動し、2011年1月より独立。現在はさまざまな業種のビジネスパーソン向けに、人材育成、チームビルディング、生産性向上、コミュニケーション術の方法を中心としたコンサルティング活動及び1on1コーチング、講演、研修等を実施している。累計の受講者数は3万人を超えている。