落とし穴③結局ワークオンリーになる

一方、ワーケーションに来たのについ仕事が気になってしまい、結局「仕事オンリー」で、「わざわざ来た意味は何だったのか」と後悔する人もいます。

起業家として地域コミュニティづくりの事業を手がける柴田大輔さんも、仕事オンリーで過ごしてしまった経験がある一人です。

今はスマートフォンがあれば、仕事ができる便利な時代。「どこでも仕事ができてしまうから、休むことが不便になってきている」と指摘します。特に、柴田さんのような経営者の場合、仕事のことを常に考えてしまう人は多いはず。

柴田さんは、ご自身の経験から、遊びの予定やオフラインの時間を組み込むように意識しているそうです。最近のお気に入りは、ボードに立ってパドルを漕いで進むマリンスポーツ「SUP(サップ)」だとか。マリンスポーツの良いところは、物理的にデジタル機器から遮断されるため、オフモードに切り替えられる点だそうです。。

「休み方が上手になって、しっかりリフレッシュできると、仕事の効率が上がるのを実感できるはず。ワークの環境だけではなく、どんな休み方や遊び方ができそうか、予めリサーチしておくと満足度高く過ごせます」(柴田さん)

以上、ワーケーションを満喫している人は、ワーケーションの目的を明確にして、ワークとバケーションのバランスを意識していることがわかりました。

とはいえ、理想のバランスは人によってさまざまで、十人十色です。理想的な時間配分も居心地が良いと感じる環境も違います。だからこそ、自分は山派か海派か、都市派か田舎派か、などを自分で知っておく必要があります。自己理解こそが、ワーケーションの落とし穴にはまらないための極意なのです。

児玉 真悠子(こだま・まゆこ)
「新しい働き方」を実践する編集者&ライター、ワーケーションプランナー

1980年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、出版社に勤務。ビジネス系出版社で書籍編集を経験した後、2度の産休を経て「仕事も暮らしも犠牲にしない働き方」を模索し独立。現在、旅行会社勤務の友人と共に、親子向けのワーケーションに特化したツアー企画や情報発信事業を構想中。フリーランス協会「フリパラ編集部」、地方創生チーム所属/キャリアコンサルタント/100人の本屋さん運営委員/2児の母。Twitter:mayukoda