雑誌『PRESIDENT』の50代男性編集者が、多くの企業で導入されている「アンコンシャス・バイアス研修」を体験。昭和な家庭で育ち、家事は共働きの妻任せにしていた彼が驚きの変身を遂げた背景には、研修でのある「気づき」があった――。
年上のカップル
※写真はイメージです(写真=iStock.com/miya227)

女性の管理職比率が伸びないのは女性のせいじゃなかった!

女性の閣僚が少ない、企業の女性役員・管理職が少ない。女性社員はステップアップに消極的。長年、聞き慣れている嘆きである。まあそれじたいに異論があるわけではない。しかし、それらはおおかた男どものせいである……と言われたら、オトコ的には正直、抵抗がある。

産休・育休などの諸制度も今や当たり前。しかも、今の若手・中堅の男性社員には露骨な性差別をする者などそうそういない。結局、女性側に何か問題あるんじゃないの? というのが、男側の漠然とした感想だ。

しかし、企業の組織変革やダイバーシティ(多様性)推進を数多く手掛けてきたチェンジウェーブ・藤原智子さんによると、どうもそうではないようだ。藤原さんが指摘するのは、女性の働き手のステップアップを阻んでいる「アンコンシャス(無意識の)・バイアス」の存在だ。制度・システムではなく、人の心のうちにあるもの。自分では気づかない、「○○は●●なのが当たり前」といった先入観、固定観念だ。

特に男性社員たちの、性別に関わる無意識バイアスは、知らぬ間に同じ職場の女性社員のモチベーションを下げる。リモート勤務中の社員たちに出社を促す場合、幼子を持つ女性社員には“配慮”して声をかけない。あるいは、男性社員を現場で交渉役に立たせる一方、女性社員にはサポート役ばかりやらせる……これらに違和感のない人は要注意。いずれも、「女性は子育て優先」「女性はサポート役が向いている」という無意識バイアスがなせる業なのだ。

こんな状況ばかり続けば、女性社員が「私は期待されていない」と感じ、やる気をそがれるのは無理もない。仕事の機会は男性社員のほうに回され、結果、経験値に勝る男性社員が先に昇進してしまうのだ。よかれと思った配慮が裏目に出ていて、しかもそれに気づかない……うう、この通りなら、ほんとに何もかも男どものせいではないか!