シンガポール在住、ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。世界の大学の最新のランキングをイギリスの専門誌が発表しました。アジアからは、中国とシンガポールという中華圏のトップ校が日本を抜いて上位にランクインしました。今回は、今世界でも注目されている中華系の教育力について分析したいと思います。
中国の学校の教室で、書き取りをする少女
※写真はイメージです(写真=iStock.com/MediaProduction)

ジム・ロジャーズ氏が語るアジアの教育の素晴らしさ

英国の教育専門誌『Times Higher Education(THE)』が、大学の教育の質や国際性などを総合的に評価する「THE世界大学ランキング2020」を発表しました。1位が5年連続でイギリスのオックスフォード大学、2位がアメリカのスタンフォード大学、3位がハーバード大学で、上位13校までを米英の大学が占めました。アジアの大学の中では中国から清華大学(20位)と北京大学(23位)、シンガポールからはシンガポール国立大学(25位)と南洋理工大学(47位)、日本の東京大学(36位)と京都大学(54位)などが上位にランクインしました。

このランキングには資金力も影響しているようです。今回、中国の大学の研究による収入の中央値が初めてアメリカの大学を上回り、専門家は「新型コロナウイルスの影響で、アメリカの大学の収入が落ち込み、米中の大学の差が縮まるきっかけになるかもしれない」と指摘しているようです。中国からは2019年と同じ7校が上位200校に入り、ほとんどの学校が順位を上げています。シンガポールは基本的に財政黒字で準備金の蓄えがありますが、日本は財政難から教育など政策投資に投じられる予算は削られる一方です。

15歳児を対象にした国際学力テスト(PISA)では科学的リテラシー、読解力、数学的リテラシーの3分野で2015年にシンガポールは世界首位でした。2018年度には中国(都市部)に抜かれたもののシンガポールは2位です。その他、3位マカオ、4位香港など中華圏の学力の高さには圧倒されます。ちなみに、日本は6位、韓国は7位、イギリスは13位、アメリカは25位でした(2018年)。世界3大投資家のジム・ロジャーズ氏も、娘たちの教育のためにシンガポールに移り住み、娘をローカルスクールに入れているほどです。取材のたびにアメリカの教育はひどく、アジアは素晴らしいと言います。留学でアメリカを目指す日本人はいまだ多いものの、実はアジアの教育の方がよいのでしょうか。

OECD生徒の学力調達度調査(PISA)2018年 国際比較