年間5日の「介護休暇」や勤務時間の調整も可能

月に1度の通院に付き添いたい、毎月のケアマネージャーとの面談に同席したい、といった場合に助かるのが、「介護休暇」です。これは1年に5日まで、半日単位でも取得できます。

そのほか、育児・介護休業法では、①所定労働時間の短縮、②フレックスタイム、③始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げ、④介護サービス費用の助成、といったメニューがあり、雇用主はいずれか1つを会社の制度として定めることが義務付けられています。さらに介護が終わるまで、希望すれば残業が免除される制度も新設されています。自宅介護をしていて、日中はデイサービスや訪問介護のサービスを利用する、といったケースでは、残業がないことはかなり安心できると思います。

介護でキャリアに傷がつく心配を払拭

キャリア志向の女性にとっては、介護が昇進などに影響しないかも気になりますが、育児・介護休業法では、そうした点のフォローも考えられています。

介護休業や介護休暇を取得したり、時短などを選択したりした場合でも、解雇や降格、不利益な配置変更、減給、不利益な評価など、不利益な取り扱いをすることを違法としているのです。事業主に対し、「上司や同僚などが職場において、妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする就業環境を害する行為をすることがないよう防止措置を講じなければならない」、という防止措置義務も定められています。

介護の必要が生じた場合はもちろんですが、働く女性として、リーダーや管理職の役割を担っている人は、こうした制度や義務があることをしっかり把握しておくことが求められます。

介護休業中、賃金の67%か80%は確保できる

お金についても支援があります。介護休業を取得した場合は、雇用保険から「介護休業給付金」が給付されます。

金額は「賃金(日額)×休業日数(最大93日)×67%」で計算されます。ただし勤務先から賃金が13%超支払われる場合は賃金の80%相当額と、支払われる賃金との差額が支給される額となります。さらに賃金の80%以上が支払われる場合は、給付金の支給はありません。

介護給付金は、介護休業を開始した日の前2年間に、12カ月以上雇用保険に加入していること、1年以上雇用が継続していることが条件ですから、1年以上勤務している会社員ならほとんどが対象になります。パート勤務の人でも条件を満たす場合がありますから、勤務先に確認してみましょう。

なお、育児休業では厚生年金や健康保険の保険料免除がありますが、介護休業についてそれらの免除はありません。

ここでポイントになるのが、誰が介護休業するか、です。例えば夫が会社員、妻は雇用保険に加入していない自営業、といったカップルの場合、妻は介護給付金が受けられません。それなら、介護休業が取得でき、介護休業給付金の給付が受けられる会社員の夫が休業した方が、経済的にメリットが大きい可能性もあるのです。