対策2:コミュニケーションの頻度を上げ、スマホ導入の検討も

コロナ禍では、様子がおかしいときにすぐに親元に駆け付けられないかもしれませんから、できるだけ早く予兆がつかめるよう、コミュニケーションの頻度を上げましょう。電話をかける頻度を増やすだけでもかまいません。

今年4月から5月に全国で出された緊急事態宣言中、私のところには、「離れて暮らす親に会いに行けず、顔が見られないのが不安」という声がたくさん寄せられました。せめてお互いが顔を見て話ができると、安心感が違います。

高齢者に、新しいツールを使ってもらうのは大変かもしれませんが、これを機に、ガラケーからスマホに変えてもらうのも手でしょう。LINEアプリだけでも使えるようにしておけば、ビデオ通話で顔を見ながらコミュニケーションをとることができます。子どもや甥、姪を巻き込めば、こうしたツールの使い方を覚えるモチベーションになるでしょう。

対策3:いざというときに頼れる隣近所の連絡先を把握しておく

親に何かあったときに様子を見に行ってもらえるように、親の家の隣近所や親せきなどにお願いしておきましょう。自分が生まれ育ったところに親が住んでいる場合は、小中学校の同級生が近所に住んでいるかもしれませんから、連絡を取ってみるのも手です。いざというときに誰に電話すればいいのか、その心づもりがあるだけで、気持ちは楽になるはずです。

「遠距離介護のノウハウ」は、「仕事と介護の両立のノウハウ」

長く遠距離介護の支援に携わってきましたが、最近では「『仕事と介護の両立』というテーマで講演をしてほしい」という依頼が増えてきました。遠距離介護のノウハウは、「仕事と介護の両立のノウハウ」でもあります。同居や近居であっても、仕事をしながら介護をするなら、「自分が司令塔となって介護をマネジメントする」というところは同じです。

介護で悩んでいらっしゃる方は、「できないこと」を数えてしまう傾向があるように思いますが、できることを数えると結構たくさんあるものなのです。

ただ、コロナ禍は、重症化リスクの高い高齢者が対象となる介護には大きな試練であることは確かです。離れて住む親のケアについて、考える機会としていただければと思います。

構成=池田 純子

太田 差惠子(おおた・さえこ)
介護・暮らしジャーナリスト

京都市生まれ。1993年頃より老親介護の現場を取材。「遠距離介護」「高齢者住宅」「仕事と介護の両立」などの情報を発信。AFP(日本FP協会)の資格も持ち「介護とお金」にも詳しい。一方、1996年遠距離介護の情報交換場のNPO法人を立ち上げて子世代支援(~2023)。著書に『親が倒れた!親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと 第4版』『高齢者施設 お金・選び方・入居の流れがわかる本 第3版』(以上翔泳社)『遠距離介護で自滅しない選択』(日本経済新聞出版)『知っトク介護 弱った親と自分を守る お金とおトクなサービス超入門第2版』(共著、KADOKAWA)など。