デメリットだけじゃない! 離れて介護をすることのメリット
メリット1:介護で行き詰まりにくい
何といっても離れて暮らしているので、介護で行き詰まったりすることがありません。やはり実の親子であっても、価値観は違いますので、四六時中一緒にいると、腹立たしいことも起こります。そういった気持ちが起こったときに、同居していると、その気持ちをずっと引きずってしまいます。
しかし遠距離介護なら、一度自宅に戻れば気持ちがリセットできて、また次に笑顔で会いにいくことができます。お互いにやさしくなれるわけですね。
メリット2:生活を変えなくていい
離れて暮らしながら介護をするわけですから、仕事をやめる必要もなく、今の生活をそのまま続けられます。介護が長引けばお金がかかるかもしれませんし、自分の老後にも備える必要があります。これまで自分が築いてきたキャリアをあきらめることなく、これまでとほぼ変わらない生活を続けられるのは大きなメリットです。
「様子がおかしい」「認知症の症状が出てきた」からといって、即、同居や施設入居が必要なわけではありません。自治体の制度やさまざまなサービスを上手に使えば、自分の生活をできるだけ変えず、親と離れて住みながら介護をすることは可能です。
また、これは「メリット」とは言い難いかもしれませんが、同居していないと、行政サービスが使いやすい面もあります。掃除や食事などの家事援助サービスは、子どもが同居していると利用できないことがあるのです。
ちなみに、身体の自由が利かなくなるなどして介護度が高くなった場合に入居する、特別養護老人ホームは人気が高く、入居の順番待ちがあることが多いのですが、子どもが近くに住んでいない場合は入居の優先度が高くなり、入りやすいという傾向もあるようです。
「おかしい」と思ったら、まずここに連絡を
親に異変を感じたら、まずすべきことは親の暮らす自治体の「地域包括支援センター」に連絡してみること。地域包括支援センターとは、介護や医療などから高齢者を支える相談窓口。対象地域に住む65歳以上の高齢者やその家族・支援者が利用できます。加齢に伴って心身の変化が生じた場合は、65歳未満でも相談が可能です。
これまで全くサービスを受けたことがなくても、今回のコロナ禍のように、すぐに親元に行けない事情を伝えれば、センターの職員が親の様子を見に行ってくれます。
センターには、現地の介護サービスに関する情報が集まっています。介護保険で使えるサービスはもちろん、介護保険を使わなくても利用できるものもあるので、相談してみるとよいでしょう。多くの自治体で、急病の際に通報装置のボタンを押すとコールセンターに連絡が行く「緊急通報システム」を無料または安価で利用できますし、ゴミ出しのサポート、安否確認や食事の宅配などもあります。
また、介護保険の申請は、通常は本人か家族が行いますが、申請代行をお願いすることもできます。コロナ禍で親元に駆け付けられなくても、できることはたくさんあるのです。