【解決策2】どうせ読まないんだったら……

逆にこんな方法もあります。事前に読んでくることを諦め、席上配布してみんなでじっくり読む時間を取るのです。Amazon社のリアル会議で採用されている方法です。

事前に読むとなると、参加者によって読み込みの深さに差が出てしまいます。質問にあるような事態は避けようがありません。

だったら、時間を取って読んだほうが、レベルをそろえるには好都合です。資料を読む間もないほど忙しいメンバーにも有難いやり方です。

人に説明してもらうより、自分で読むほうが断然早くなります。それぞれ自分のペースで内容が理解できます。

ただし、説明すべきことが資料にキッチリ書かれており、「読めば分かる」ようになっていなければいけません。数字や図解だけではなく説明文も要ります。それができるなら、あながち悪くない方法だと思います。

【悩み2】発言を独占する人がいる

オンライン会議をやってみたところ、一人でずっと話をしている人がいます。リアル会議でもよく話すベテランの人です。これでは他の人が発言できず、対等な議論になりません。止めさせるよい手はないものでしょうか。

【解決策1】「話が長い」ことに気づいてもらう方法

まずは、発言を独占していることに気づいてもらわないといけません。

これはファシリテーターの役目です。話に割って入り、「話が長い」「手短に」ということを伝える必要があります。問題は、どうやってカットインするかです。

ダイレクトに言えない人には、こんな方法があります。主催者の権限で、画面表示を切り替えたり、マイクを強制的にオフにしたりします。相手が「何だ?」と話を中断したところで、「あれ、調子がおかしい」とトボケるのです。あとは勇気を出して伝えるだけです。

チャットに書いて伝える手もありますが、そんなものは見ていないでしょう。であれば、テレビ番組のようにカンペを出すのはどうでしょうか。A4紙に「あと30秒」「巻きでお願いします」と書いて、カメラに近づけます。ADにでもなったつもりで。あらかじめそうすることを伝えておけば、気を悪くすることもないはずです。

私の知人の中に、「発言が長いと自動的に画面オフになる設定にしました」と嘘をついたツワモノがいました。いつ切れるか心配になり、随分話が短くなったそうです。

以前、こんな実験をしたこともあります。1分間話すようにお願いをして、実際はどのくらいだったかを計測してみました。参加者全員の練習として。一番ひどい人は、なんと3分! それを伝えると、次からはとても話が短くなりました。

【解決策2】気づいているのに止まらない場合は……

本当の問題は、気づいているのに止まらない人です。

多いのは、「他の人の話を聞いてもロクなものはなく、自分が答えを出さないといけない」と思いこんでいるケースです。早い話、メンバーを信用していないのです。

本当に、知識や経験の差が大きくて、そうしないといけない場合もあります。しかしながら、いつもそうしていたのではメンバーが育ちません。

「あなたが正しいのは分かっているが、一度他のメンバーにも考える機会を与えてほしい」と言えば分かってくるはずです。褒め殺しにするわけです。

もうひとつあるのは、自分が周囲から認められていないと感じ、会議という場で自己アピールをしているケースです。みんなから注目してほしいのです。

こちらはかなりやっかいです。それを会議以外の場でやってもらうのが対症療法となります。レポートを書いてもらうとか、別途話を聞く場を設けるとか。

根本的に対処するには、職場での当人への関わり方を変えたり、本人自身が自分を承認するようにならないといけません。かなり息の長い取り組みになります。

そのときに大切なのは、当人を悪者にしないことです。チームの問題だととらえるのです。「みんなはどのようにその問題に加担しているのか?」「みんながその人に何ができるか?」を考えることが、当人が変わるための近道となります。