投資などの金銭教育は興味があれば教える

アメリカのように金銭教育が進んでいる国では、子供の年齢に合わせて内容もレベルアップをしていきます。小学校では、「稼ぐ」、「消費」、「貯める」、「寄付」(ボランティアも含む)などが中心に教えられ、「借りる」「投資」などはもう少し成長してから学びます。

遠足などフィールドトリップで予算内で買い物をする、貧しい人に食事を提供するボランティアをする、フリーマーケットで物を売ってみる、このような低年齢からでもできることに対して徐々に取り組ませていきます。

前述のジム・ロジャーズ氏も、高度な投資などについては、もし興味があれば子供に教えるというスタンスのようです。専門的な分野については子供が親と同じ情熱や適性を示すとは限らないからでしょう。とはいえ、基礎的なお金の知識は生きていくのに必須です。

日本のようにどちらかというとお金の話そのものを避ける傾向が強く、年齢に合わせた教育ができていないと、急に社会に出てからリボ払いなどの借金に初めて向き合ったり、賃貸契約などの契約の際に不利な契約をしてしまうなど、お金のトラブルが大きくなってしまうこともあります。今は、「定額払い」などリボ払いに近い仕組みもカジュアルにできるような社会です。ゲームの中でも簡単にお金を借りることができるので、リアルの世界でも、借金の仕組みも知らずに借りてしまうということも起こり得ます。

日本の家庭でも簡単なことから金銭教育を施していくことはとても大事だと思います。必要に応じて地域のワークショップや専門家などを活用するのもよいでしょう。

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花輪 陽子(はなわ・ようこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

外資系投資銀行を経てFPとして独立。2015年からシンガポールに移住。『少子高齢化でも老後不安ゼロ シンガポールで見た日本の未来理想図』など著書多数。