ファーストステップは身近なところから

副業を始めるときは、テストマーケティングをすることが大切です。まず家族や友人など周りの人に、そのサービスを使ってもらい、忌憚のない意見を言ってもらいます。料理や手芸などの教室をしたい場合は、最初は近所の友だちを集めて無料でやってみて、喜ばれたら有料で世間一般に向けて広くやってみるとよいでしょうね。

自分が思っているよりもニーズがあるということも多々あります。たとえばウェブ制作やプログラミング、ライティングなどは、その業界にいると、周りにいくらでもできる人がいるので、自分のスキルやそのスキルの価値を過小評価してしまう傾向があります。でも業界を変えてみると、意外に重宝がられることはよくあるのです。

やはりマーケットを探すときは、自分が既に持っているものを必要としてくれる場所を探すということが重要です。釣りをするときには、魚のいるところで釣らないとダメ。釣竿が悪い、エサが悪いという前に、釣る場所を変えてみるのがいちばん手っ取り早いのです。

知っておきたい副業のNGポイント

副業を始めるにあたって気をつけてほしいのは、本業をおろそかにしないということ。特にリモートワークだと、本業と副業の境界が不明確になりがちで、気がついたら副業の仕事ばかりやって本業がおろそかになっていたということも少なくありません。「時間割」を作って、しっかりとセルフマネジメントをしましょう。

時間割をつくるときのコツは、まず仕事の時間を落とし込み、睡眠や食事、入浴の時間を入れますが、散歩や買い物といったリフレッシュする時間も入れること。健康面を維持する時間を取るからこそ、メリハリがきいて、セルフマネジメントがうまくいくのです。

また当たり前のことですが、法律を順守することも重要です。たとえば中古品を売るなら古物商許可、手作りのお菓子やお総菜を売るときも資格や許可が必要になります。うっかり許可をとらないまま始めている人も少なくありませんから、くれぐれも気をつけましょう。

また納税の意識がないのも困りもの。副業の所得が年間20万円を超えたら、確定申告をして所得税を支払いましょう。確定申告では、通常“雑所得”で申告することになります。

副業で人生をもっと楽しく

アフターコロナを乗り切るには、副業も選択肢のひとつです。ぜひ副業をネガティブではなく、ポジティブにとらえてほしいですね。副業は本来とても夢のある話ですから。

女性の中には自分のキャリアを過小評価される方も多いですが、10年以上やってきたということは大きな蓄積です。自分が思っているよりも可能性を秘めていると思うんです。

ですからそれを、どう組み合わせて、どこに釣り糸を垂らすか。そこを工夫すれば、うまくいくし、うまくいけば楽しくなります。せっかくの短い人生ですから、本業も副業も有意義に楽しんでほしいと思います。

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藤井 孝一(ふじい・こういち)
アンテレクト代表

中小企業診断士。1966年、千葉県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、大手金融機関を経て99年に独立。著書に『週末起業』(ちくま新書)など。