経済再開後もウインドーショッピングもままならない可能性
クリスマスシーズンには、道の反対側・ロックフェラーセンターの大型クリスマスツリーと合わせて、辺り一帯はきらびやかになり、世界中から集まる観光客を含めた多くの人で溢れ返るが、今年はどうなるのだろうか。同じ五番街では、ティファニーやカルティエ、ハリー・ウィンストンなどの高級店のほか、アップルストア、ユニクロまでもが板張りで覆われている。バリケードばかりで、ウインドーショッピングすらできない状況は、何とも残念な限りだ。
NY州が定めた経済再開のガイドラインに従い、NY市は8日から4段階に分けて、経済活動を再開した。持ち帰り以外の小売りは2番目の段階で、第1段階スタートから2週間前後経過がメドとされており、順調にいけば6月下旬か7月上旬ごろとみられる。ただ、NY市は1日に各地で略奪が起きたのを受け、夜間の外出を禁止した。禁止令は7日に解除されたが、店舗が再開されたとしても、略奪映像の記憶があまりにも生々しく、小売店は戦々恐々としており、通り一面に板が張られた状態が続く可能性がある。
抗議集会はいたって平和的
サックスから南に3キロほど下ったところにある、市民憩いの公園のひとつ・ユニオンスクエア。例年6月は、性的マイノリティーの権利啓発に向け、多くの人が街を練り歩く「プライドマーチ」がすぐ近くで大々的に開催されることもあり、マイノリティーの人々や観客でにぎわう。しかし、大規模集会にあたるとして、昨年約15万人が行進したパレードは既に中止が決定。そして、今年の6月は例年と比べ、雰囲気が異なっている。
公園前の道路で5月末、暴徒化した数人がNY市警パトカーの上に乗り、飛び跳ねて破壊する映像や写真はSNSで拡散された。その後は、抗議デモの中心地として、フロイドさんを偲び、人種差別などを唱える人たちが連日集っている。
私が実際に見た4日夕方の抗議集会には、ざっと500人以上が参加。NY市警の警察官が数カ所に配置され、横一列で並びながら遠巻きに見守っていた。その周辺こそ緊張感には包まれていたが、集会自体は暴力のにおいは感じられず、極めて平和的に行われていた。
参加者は、手製のプラカードに「BLACK LIVES MATTER(黒人の命も大切だ)」と人種差別の撤廃や、フロイドさんが事件時に声を上げていた「I can’t breathe(息ができない)」、さらには「Take your knee off his neck(彼の首から膝をどかせ)」と事件時の警察対応を非難する内容を書き込み、それぞれ抗議の姿勢を示していた。数人に話を聞いたが「俺たちは、暴徒とは違う」「静かに抗議するためだけに、ここに来た」などと努めて冷静に話していた。そして、黒人だけではなく、多種多様な人種が参加していたのが印象的だった。