経済学に数字を取り入れた「新古典派経済学」が登場

「いくら汗水たらして働いて作っても、誰もそれを欲しがらなければ価値がない」と消費者の満足度に照らして主張したのが、19世紀末に登場したマリ・エスプリ・レオン・ワルラス(フランス/1834~1910)。希少性と満足度の兼ね合いで、商品価値は変動する“限界効用理論”を説いたのは『純粋経済学要論』(1874)。市場は影響を与え合いながら均衡すると主張しました。

ワルラスと同様に、アルフレッド・マーシャル(イギリス/1842~1924)も、現実からかけ離れた理論を「単なるひまつぶし」と一刀両断し、「新古典派経済学」を開きました。『経済学原理』(1890)では、一時的均衡、短期均衡、長期均衡、超長期均衡という4つの変化を前提に、市場は変化するもの=動態的なものととらえました。

マクロ経済を確立させた20世紀を代表する学説「ケインズ経済学」

20世紀になると、マルクスと似たような考えのジョン・メイナード・ケインズ(イギリス/1883~1946)が登場します。そう「ケインズ経済学」と呼ばれるマクロ経済を確立させた重要人物です。しかし、ケインズは資本主義を否定したというより、自由放任を否定した。困った人がいっぱいいるときは、政府が助ける経済をつくろうと主張しました。

マクロ経済学を学ぶなら『雇用・利子および貨幣の一般理論』(1936)が基本の一冊。失業をなくすためには、不況のときこそ、政府が介入して、有効需要をつくるべきであることが記されています。

こうしたケインズのやり方の矛盾をついたのが、シカゴ派のドンと呼ばれるミルトン・フリードマン(アメリカ/1912~2006)です。政府の裁量的な経済政策はやめて、どんな景気のときもお金の量を計算して、それだけで経済政策はすませればいい。いわゆる「マネタリズム」を発展させた人です。『資本主義と自由』(1962)では、“新自由主義”や“小さな政府”などで、グローバル化を加速させ、通貨供給量を法制化することを提示しました。