若者たちが求めるアフターコロナの働き方
【原田】今の若者はネットに慣れているから、ベースの感覚が違うんだろうね。でも中高年には、リモートワークにさびしさや苦手意識を感じる人も多いんだ。昭和的な働き方が依然として根強いのもそのせいだと思うんだけど、コロナの影響で今後は変えていかざるを得ないだろう。皆はどう変わってほしいかな。こんな会社、こんな日本社会になってほしいという希望があったら教えて。
【Cくん】リモートと出社が共存する社会になったらいいなと思います。リアルで会う必要がない仕事はネット上でやり取りできるようにして、働き方の選択肢がもっと広がるといいですね。今、僕は毎日出社していますが、正直言って感染への不安もあるし、リモートワークで済む仕事もあると思っています。
【Dくん】出社しなくてもできることって結構あると思うんですよ。うちの社はWeb商談を始めているんですが、顧客の中には「商談はリアルで会わないとできない」と思い込んでいる人も少なくありませんでした。通勤は満員電車のストレスを生むし、対面商談には移動時間がかかります。ネットを使えばもっと効率が上がるはずなので、古い価値観は変えていってほしい。僕自身も、Web商談やWeb面接を提案していくつもりです。
【Bさん】日本は今後IT産業が伸びていく国なのに、他国に比べてネット環境の整備が遅れている気がします。どんな場所でも気軽にネットが使える、そんな環境が整った社会になってほしいと思います。
「在宅か出勤か」二者択一は古い
【Aさん】働き方も「ネットでできることはネットで、対面が便利な場合は対面で」っていうスタンスになればいいですね。Zoomには難点もあって、私は対面よりコミュニケーションが難しいと実感しています。だから「在宅か出勤か」ではなく、案件によってスタンスを変えられる柔軟な社会になってほしいです。
【原田】今後は、在宅と出勤を組み合わせて働くのが当たり前になっていくのかもしれないね。コロナをきっかけにリモートワークを推進し始めた企業も多いし、働き方が柔軟になっていく可能性は大いにあると思うよ。
日本では以前から働き方改革が進められてきましたが、それは業務量はそのままに労働時間だけを削減しようとするものでした。しかし、Zoomなどの活用が浸透していけば、拘束時間のうち多くを占めてきた通勤や移動は不要になります。この効率性に、今、昭和世代を含めた多くの人が気づき始めているのではないでしょうか。今回の若者たちの意見は、アフターコロナの時代にどう働くかというテーマを考える上でも、大きなヒントになるように思います。
構成=辻村洋子 写真=iStock.com
1977年東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーを経て、現在はマーケティングアナリスト。2022年より芝浦工業大学教授に就任。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。主な著作に『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』(幻冬舎新書)、『パリピ経済 パーティーピープルが経済を動かす』(新潮新書)、『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』(光文社新書)、『寡欲都市TOKYO』(角川新書)、『Z世代に学ぶ超バズテク図鑑』(PHP研究所)などがある。