戦争は絶好のビジネスチャンス

歴史は繰り返すといえば、戦争も何度も繰り返し起こっています。そして世界史と経済史の年表を見比べると、戦争が大きく経済に関係していることもわかります。

そう、嫌な話ですが、戦争は大きなビジネスチャンスになります。武器売買に株式投機に国債、植民地の活用など、稼げる道はいくらでもあります。だから、不景気になると戦争をやりたがる為政者も多く、アメリカのルーズベルト大統領なども、世界恐慌対策のニューディール政策で経済が回復しなかったから、第二次大戦を仕掛けて一発逆転をめざしたなどと言われることもあるほどです。このように、戦争はどうしても欲望が結びついてしまうのであり、だからこそ戦争はこれからもなくならないと思われます。

ちなみに私は、予備校で倫理と経済の両方を教えていますが、倫理が基本的に性善説なのに対して、経済は性悪説。真逆です。

倫理では、例えばソクラテスのように万人に共有する善なる世界をめざそうとか、カントのように理想の道徳世界をめざそうなどと言いますが、政治や経済の世界はもっとシビアで、基本的に他人の善意を信頼したりしません。もう「人を見たら泥棒と思え」の世界です。

だから戦争も、もっともらしい大義を振りかざしてはいるものの、その奥にあるものは「損得勘定」です。そこにはどこを叩けば得か、どの勝ち馬に乗るのが得かばかりが渦巻いています。そういう意味では、その大義の奥で息づいている「欲望」を読み取って行動できるようになれば、あなたも儲けられるのではないでしょうか。

※この記事は、プレジデント ウーマン2018年12月号に掲載されたものを再編集し、大幅加筆したものです。

構成=池田純子 写真=iStock.com

蔭山 克秀(かげやま・かつひで)
代々木ゼミナール公民科講師

「現代社会」「政治・経済」「倫理」を指導。3科目のすべての授業が「代ゼミサテライン(衛星放送授業)」として全国に配信。日常生活にまで落とし込んだ解説のおもしろさで人気。『経済学の名著50冊が1冊でざっと学べる』(KADOKAWA)など著書多数。