“THE会社員”には厳しい時代に

働く人が、自分で勤務時間や勤務体系を決められる時代になると、雇用する側、マネジメントする側の「どうやって働く人をマネージするか」も変わります。働く人それぞれに任せるのか、管理するのか。つまり、マネジメント側がどのように「働け」と言うかが問われる。「働き方」だけでなく「働け方」も重要になってきます。

僕も経営者であり編集長であるので、「働け方」は日々考えています。時間給でないならば、いつ、どれくらい、どこで働いたか、管理する必要はありません。「どれだけ生産したか」という成果物を評価するほうがわかりやすい。僕は本来、仕事とはそうあるべきだと考えています。

成果物に対する報酬ということになると、会社員であってもフリーランスに近付いていきますね。そして個人の実力が可視化されることになる。それは、いいことではあるのですが、一方で、今まで時間給で働いてきた、いわゆる“サラリーマン”や“サラリーウーマン”にとっては、厳しい時代になるかもしれません。スキルやパフォーマンスが問われるのでシビアです。

“ウィンドウズ2000”がいなくなる

そういうことになってくると、2000万円の年収をもらって企業の経営を圧迫している窓際族のおじさん、「ウィンドウズ2000」と呼ばれる人たちの仕事はなくなるでしょう。人口の多いバブル世代や、下手をすれば僕たち団塊ジュニアの世代も対象になります。激しい競争にさらされるようになるので、覚悟をしておいたほうがいいでしょうね。

会社を立ち上げたりして個人の名前で仕事をしている人はいいですが、そうでない人は今後、何を頼って生きていけばいいかわからなくなります。それが、ポストコロナに起きる働き方の変化のポイントになるのではないかと思います。

目指すは“ハイブリッド”生活

新型コロナの影響で、しばらく移動の制限は続くでしょう。海外との行き来はもちろんかなり厳しくなる。僕は2017年に、国内外に移住した33人を取材した『いきたい場所で生きる』という本を出しましたが、特に海外への移住は難しくなるでしょう。

ただ、今回リモートワークを経験して、「別に毎日オフィスに通勤しなくても仕事はできる」ということに気付いた人たちも多いはずです。何も、人が密集していて生活コストが高く、新型コロナのような感染症も広がりやすい大都市に住む必要はない。国内の感染状況が完全に終息したら、田舎に住むという選択肢に目を向ける人も増えるだろうし、国内での移住はこれから注目されると思います。

新型コロナで景気が悪化し、収入も厳しい状態になることを考えると、田舎のほうが家賃も生活費も安く、低燃費な生活ができます。豊かな自然の中で子育てをしながら、自給自足や地産地消の生活を送る一方で、オンラインで最先端の働き方をするという、ハイブリッドの暮らしを目指す人たちも増えるでしょうね。