ひときわ目立つネガティブなレビューに惑わされない方法
たとえば、コラムを楽しんで肯定的に見てくれた人は、「いいね!」を押してくれるのだが、仮にそれで「3000いいね!」を集めたとしよう。
すると、だいたいその30分の1の量のコメントがあるのだが、そのコメントはほぼすべて、酷い罵詈雑言と憎悪に満ちあふれているのだ。
これが意味するのは、肯定的な評価をする人のエネルギーは「いいね!」をポチッとひと押しする程度なのだが、怒っている人でしかも暇な人は、ネガティブな書き込みに全精力を費やすということである。
この30対1という比率は時とコラムによってもちろん変わるので、一般化するわけではない。しかしながら、ネガティブなコメントを見て「世間は皆、怒っている」などと過度に心配するのは、大いに間違っているということである。
特に私たちの社会のメディアは、怒っている人からの投書や電話(いわゆる電凸)に弱い。しかし実はその30倍、いやもっと多くの、サイレントサポーター(静かな支持者)がいるかもしれないことを忘れず、批判に対して、過度に萎縮しないでほしい。
炎上や批判に過度に委縮しないようにしよう
私自身、「炎上してもまったく気にしないね、あなた」と感心されるのだが、それはあまりにも酷い罵詈雑言を長らく浴びてきたので、完全に神経がマヒして、何を書かれても「こんにちは」「ごきげんよう」くらいにしか感じないからだ。
しかしここで私たちが覚えておきたいのは、このような「炎上に世論が引っ張られる」という事態を避けるためにも、つまらない炎上に対しては萎縮ではなく、笑い飛ばすくらいの強さが必要だということだ。
批判や罵詈雑言をたくさん受けたからと言って、それが決して世論全体を反映しているわけではないと心を強く持とう。
実情を知らない他人からのいい加減な評価より、すべてを知っている自分からのレビューを信じて、あまり人からの評価に一喜一憂しないようにしたい。
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欧州系投資銀行、米系戦略コンサルティングファーム、米系資産運用会社で勤務したのち、香港・シンガポールに移りプライベートエクイティファンドにて勤務。現在は日本とシンガポールを拠点に、投資×企業イノベーション×グローバル人材(採用・研修・コーチング)の3領域で活動。インフルエンサーとしても知られており、東洋経済オンラインでのコラムは1人で1億PVを達成。主著の『最強の働き方』(東洋経済新報社)、『一流の育て方』(ダイヤモンド社)などのベストセラーは6ヵ国語で展開され、累計60万部を突破。2017年翔泳社ビジネス書大賞受賞。2020年よりビジネスコミュニケーション能力を高めながら仕事の教訓を学ぶ、「マンスリービジネススクール」をコンセプトにしたオンラインサロン「最強&一流の基本」を開設。