投票率の低さは与党にとって好都合

投票率が下がるということは、政党を支持している人たち、政党に動員されている人たちばかりが投票することになります。投票全体に占める組織票の割合が上がるので、政治に届く声がさらに偏ってしまう。

しかしそれは、与党にとっては都合がいいことです。下手に投票率が上がって、組織票以外の票が増えると困ります。見慣れた年配の男性ではなく、女性や若手など、新鮮な顔ぶれが立候補すると、選挙が盛り上がって投票率は上がると思いますが、そうして選挙への関心が上がると、組織票ではない「読めない票」が増える。それは与党には大きな脅威です。ですから、選挙になると一応「選挙に行こう」とは言うものの、テレビで討論があるわけでもないですし、選挙そのものに関心を持たせるようなことはほとんど行われません。

こうした投票率の低さは、「有権者が政治に関心を持たないからだ」と、有権者を責める声もありますが、私はそうではないと思います。政治がダメになったから有権者が政治に関心を持たなくなってしまった。「関心を持っても仕方がない」と思わせるような、政治の側の問題です。ある意味、私たちは、「あきらめさせられている」と言えるわけです。そしてその状態は、与党にとって都合が良いのです。

自民党には、女性を増やすモチベーションがない

与党・自民党の、男性多数の顔ぶれはなかなか変わりません。自民党には「現職優先主義」という方針があるので、変えようというモチベーションが生まれないのです。現職ということは、選挙で勝った人たちなので、別の人を立候補させようということにはなりません。そして現職はほとんど男性ですから、女性が増えにくいというわけです。

もし、投票率が上がって「読めない票」が増え、競争が激しくなり「現職だったけれど選挙で落選した」ということが頻繁に起きるのであれば、立候補者の顔ぶれは変わるでしょう。しかし、現状ではまったく逆のことが続いています。

本当であれば、「当選回数の上限を決める」「政界を引退する人がいたら、新しく立てる候補者は女性にする」といった方針を政党で掲げればいいだけの話です。しかし、自民党は地方の力が強く、地方は特に高齢の男性が多いので反発が大きく難しい。