選択的夫婦別姓について、何度も議論されてきたにもかかわらず、実現していません。なぜ、日本では選択的夫婦別姓が認められないのでしょうか。「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」事務局長の井田奈穂さんに聞きました。
疑問を持つ若い女性
※写真はイメージです(写真=iStock.com/metamorworks)

同じ権利をもっていることに気づいてしまう!

前回も述べましたが、夫婦同姓を法律で義務付けているのは、先進諸国のなかでも日本だけです。なぜ、日本で選択的夫婦別姓が認められないのか、その理由は大きく分けて3つあると考えています。

まず「感情論」。次に意外と根強いのが「宗教観」。そして「女性蔑視」、つまりは男性の支配欲です。妻子が自分の姓を名乗ることで、妻子が自分とひも付いている感覚を得られ、自分が一人前になったと考える男性が日本には多い。

私が選択的夫婦別姓制度の導入に向けた活動のため、最初に政治家と名の付く人、つまり地元や国会の議員さんに会い始めたのは2018年のことでした。このとき言われて衝撃的だったのが、「選択的夫婦別姓というものを許してしまうと、女性が男性と同じ権利を持っていることに国民が気付いてしまう」「それを許すと女性天皇が生まれる機運をつくってしまう」「八百万の神に守られた日本は男性の系譜でずっと来ていたにもかかわらず、それを崩すことになる」という言葉です。このような旧弊な考えを持つ議員さんは、仔細に地域を回っていくと、わずかとはいえ現在もいます。