誤解その1 iDeCoは分散投資すべき?

一般的に投資によって資産形成を行う場合は、「分散投資をすることが大切だ」と言われます。これはある意味、資産運用の基本ですから間違っていません。でもiDeCoの運用において分散投資をおこなうことが正しいかというと、それは必ずしもそういうわけではないのです。分散投資が大事というのは、あくまでも自分の資産全体で分散する場合の話です。自分の持っている金融資産はiDeCoしかない、という人はあまりいないでしょう。多くの人はiDeCo以外にも預金や投資信託等の金融商品を持っていると思います。したがって、iDeCoの資産の中だけで分散投資をしていてもあまり意味はないのです。

具体的に考えてみましょう。仮に自分の運用方針の中で外国株式の比率を10%にするとします。そこでiDeCoにおける資産配分も10%とした場合どうなるでしょう。仮にその人のiDeCoの資産の割合が自分の持っている金融資産全体の1割程度であり、他に外国株式資産を持っていないのであれば、その保有割合は10%×10%=1%しかないということになります。つまり、分散投資自体は大事なことですが、iDeCoの中だけで分散投資をしてもそれは適切な分散にはならないのです。

最も合理的な資産配分とは

では、具体的にiDeCoにおける資産配分はどう考えればいいのでしょうか。これは自分がどれくらいリスクを取れるのかにもよりますが、私が考える最も合理的な資産配分は、iDeCoにおいては期待リターンの高いリスク資産を充てるべきだということです。その理由は運用益に対して税金がかからないことにあります。リスク資産、つまり株式型の投資信託等で運用した結果、仮に3%の収益が得られたとしましょう。運用資産が100万円なら収益額は3万円です。ところが普通、この利益に対しては20%税金がかかりますから、6000円が税として引かれますが、iDeCoの場合は非課税ですから全く税金はかかりません。

もちろんリスクをとりたくない人は定期預金で運用してもかまいませんが、定期預金の場合だと現時点での金利はせいぜい0.1%程度です。100万円なら1000円の利息です。それを非課税にしても得られるメリットは200円程度しかありません。したがって定期預金にするのであればiDeCoではなく、普通の課税口座で利用すれば良いと思います。今のような超低金利の時代では預金の利息はわずかですから、課税でも非課税でも大差ないからです。