お金を増やすためにやるべきことは3つだけ
少し前に『お金の賢い減らし方』(光文社新書)という本を書きました。「お金の増やし方ならわかるけど減らし方って、どういうこと? お金を減らしたい人なんて、世の中にいるわけないでしょう」と思われるかもしれません。確かにそれはその通りで、心底、お金を減らしたいと思っている人などいないでしょう。でも実を言うとお金を減らし、死ぬ時に資産をゼロにして死んでいくことは案外難しいのです。むしろお金を増やすことのほうが簡単だったりします。こういうことを言うととんでもないと思われるかもしれませんが、実際そうなのです。
お金を増やす方法というのはさまざまですが、やるべきことで言えばごく簡単な3つのステップでお金は増えていきます。まずは① 普通に働いてお金を稼ぐこと、働いて稼ぐというのは全ての基本ですから、これが最初にないと話になりません。次が② 支出をコントロールしてお金を貯める、ということです。といってもよくありがちなむやみに節約をしなさいということではありません。論理的に考えれば無駄であるにもかかわらず、気が付かないままに支出してしまっている項目、一番大きいのは無駄な保険ですが、ほとんど使っていないサブスクのサービスもそうでしょうし、惰性で購読している新聞や雑誌もなかなか気付かないものです。これをきちんとチェックしてコントロールすることが必要です。
そして3つ目は③ 貯めたお金で積立投資を続けていくこと、です。それもできれば全世界株式を一本で購入できるようなインデックス型の投資信託が良いでしょう。株にしても投資信託にしてもどれを買えば良いかわからないという人が多いわけですが、正解は誰にもわかりません。であるなら、全世界の株式をその市場のウエートに従って購入していくやり方が一番簡単でしかも安定していると考えるべきでしょう。
誰でも数千万円の金融資産を持てる
① 働いて稼ぐ、② 稼いだお金を貯金する、③ 貯めたお金で積立投資をする。これを20~30年も続けていけば誰でも数千万円の金融資産を持つことは可能です。実際に全世界株式に投資をするインデックス投資を2003年7月から、毎月3万円ずつ20年間積み立てを続けた場合、積立総額は3万円×12カ月×20年=720万円ですが、今年の6月時点での総額は2523万円になっています(※)。もし今までのペースがここからさらに10年間続くとすれば、期間は30年になりますが、複利効果は期間が長いほど大きくなりますので、同じ毎月3万円の積立でも30年での総額は8000万円を大きく上回ります。3つのステップを地道に続けていくだけで資産はこれだけ増えていくのです。