内面の変化はなかなか人には伝わりにくい

人には内面と外面があるわけですが、多くの人が一生懸命に勉強したり、知識を身につけたりして内面を磨こうとしています。それはとても大事で意味のあることですが、実は内面というのは、言葉を尽くしたとしても、そう簡単には人にはわからないのです。

木暮桂子『印象はしゃべらなくても操作できる』(サンマーク出版)

しかし、外面は誰にでもわかる。外面の変化には、周りは必ず気付くのです。

変化によって自分を理解してもらいやすくなる。興味を持ってもらえる。あらゆる方面から声がかかり、チャンスも拡がる。成果も出るようになるかもしれない。それが評価されて、新たな活躍の揚へと拡がっていくかもしれない……。

同時に内面も充実させていけば、内面が外面にもにじみ出てきます。こうして、いいスパイラルが生まれていきます。しかし、中身だけ磨いていても、こういうスパイラルのきっかけにはなかなかならないのです。だったら、外面から入ってみればいいと思うのです。

内面、中身で結果を出すには時間がかかります。その結果を知ってもらうことにも時間がかかる。しかし、外面を変えることはすぐにできます。自分を変える近道になるということです。

ラベルがイマイチだとワインも飲んでもらえない

私がこれまで感じてきたことを一言でいえば、「良い中身は、良い外見があってこそ伝わる」ということです。せっかく良い中身があるのに、見た目でまず選んでもらえないと、中身を出すチャンスすらなくなってしまう。

わかりやすい例として、ワインの話をよくしています。例えば、高級ワインのシャトー・ラトゥールは、たとえどんなラベルが貼られていてもシャトー・ラトゥールですから、誰でも安心して飲むことができます。

しかし、そこまで有名ではないワインを買うことになったときは、ブランドだけでは選べない。そうなると、何で購入を判断するか。もちろん金額も含め、ぶどうの品種や生産地も大事になるわけですが、それらがまったく同じ二種類のワインがあったら、どちらを選ぶでしょうか。つくり手は、どちらも聞いたことがありません。

そうなったらもう、「雰囲気」で選ぶでしょう。もっといってしまえば、「見た目」であり、ワインでいえばラベルです。もしかしたらおいしかったのかもしれないけれど、ラベルがイマイチだったら、一生味わってもらえるチャンスすらないかもしれない。

どちらかを選ばないといけないとなったとき、迷ったら、どこで選ぶのか――。それは雰囲気であり、見た目でしかないのです。ここで選んでもらえなかったら、中身を知ってもらう機会は永遠にやってこないということなのです。