M字型カーブから抜け出せない日本社会

M字型カーブとは、女性の労働力率を年齢階級別のグラフで見た時に現れる、カーブの形状のことです。

女性の年齢階級別労働力率の推移
出典=令和元年版男女共同参画白書
各国の年齢別女性就業率
出典=ノルウェーを除く数値は、OECD「年齢階級別・女性労働力率」(2016年)、ノルウェーは、OECD「年齢階級別・女性労働力率」(2010年)を参考に編集部作成。

つまり20代でピークに達した女性の労働力率が、30代の出産・育児で下がり、子育てがひと段落した40代から再び上がるというものです。図表1からわかることは、日本のM字型が昔よりずいぶん台形に近づいてきたこと、そして図表2からわかることは、残念ながらほかの先進諸国と比べると、日本はまだまだM字型だということです。

そして今の日本では、出産・育児で一時退職を余儀なくされた女性は、キャリアアップの大切な時期にキャリアが途切れてしまうことで管理職への道が閉ざされてしまいます。その後、職場復帰しても、多くの場合、非正規。まるで労働市場が「女性の“参加”は求めているが、女性の“活躍”は歓迎していない」かのようです。意図的かどうかはわかりませんが、少なくとも形の上ではそうなっています。

こんなどっちつかずの状況では、少子化も景気低迷も解消しません。

こういう問題を解決するには、対症療法では限界があります。対症療法は場当たり的に目先の症状を緩和するだけで、根本的な治療にはならないからです。

日本が今やるべき治療は“根治療法”、すなわち根本的な環境整備です。そのための起爆剤となり得るのが、クオータ制です。

クオータ制で女性活躍が可能な環境整備を

つまりクオータ制導入で、まず女性国会議員数を一気に引き上げる。すると“女性が望む政策”の法案提案数が増えて可決しやすくなります。これで女性が活躍しやすい環境整備がなされたら、今度は女性管理職数を引き上げる。すると企業にとっては収益増につながる可能性が確実に高まります。なぜなら「有能だが埋もれていた人材の発掘・女性目線の商品開発・ビジネス展開」などが一気にできるからです。

男性主体の国会議員が、いくら“女性活躍社会”をうたっても、どうしても男性目線になってしまいますし、社内の発言力のある地位に女性が多くいないと、社の方針の意思決定に影響力を与えられません。だからこそ、クオータ制がその環境整備になり得るのです。