採用増や制度整備だけでは意欲を奪う可能性も
「日本の女性管理職比率は、先進国の中で未だ最下位クラスにとどまっています。何が原因なのでしょうか」
今回のイベントは、木下明子編集長によるこんな問題提起からスタートしました。その答えを探るため、まず行われたのは小室淑恵さんによる講演。『なぜ女性管理職を増やす企業が勝ち抜けるのか』と題して、女性活躍を進める上で失敗しやすい点や、人口構造と経済発展の関係、現在の日本企業が目指すべき働き方などをわかりやすく解説してくれました。
小室さんは、現在の日本は人口構造が経済の重荷になる「人口オーナス期」であり、高度成長期と同じ政策や戦略は逆効果になると指摘。なるべく男女ともに働く、なるべく短時間で働く、なるべく多様な人材をそろえる──。今後は、国も企業もこの3つの実現を目指すべきであり、そうしなければ経済成長は見込めないと語りました。
「女性の採用数を増やしたり、時短制度を整えたりするだけでは、男女双方の意欲を奪う結果になりかねません。最初に取り組むべきは、評価基準を『時間あたりの生産性』に変えること、そして長時間残業の是正です。まずは会社全体を、時間内で成果を上げる体質へと変えていきましょう」