「経営者は孤独」の本当の意味
「経営者は孤独」という言葉も、それはネガティブな意味ではなく、すべての主導権を自分が握っている状態を指しています。
自分の社会的責任をすべてその身に負って経営しているわけだから、周囲の意見は参考にしつつも、最後は自分自身が決める。周りが「やめとけよ」「ムリだよ」「無謀だよ」と言っても関係ない。自分が「やりたい」「行ける」と判断したら、誰にも止めることはできない。
特に一代でのしあがった中小企業経営者の多くは、誰にも相談しないし他人の話を聞かない傾向があります。
経営トップは、その事業において最も優れた発想力や判断力を持っているからこそ、その組織のトップたりうるわけです。つまりその組織内には、自分の考えを上回る意見を持つ人がほとんどいないからです。
また、自分だけの意志で決めるからこそ、そこに「覚悟」が伴い、責任感やモチベーションを強く持つことができます。
誰にも相談する必要がなければ、意思決定も行動も速くなる。特にベンチャー企業が機動性に富んでいるのは、組織や階層の問題だけでなく、そういうところにも理由があります。
つまり「経営者は孤独」というのは、最終責任を負うのは経営者ただ一人であり、その覚悟があることなのです。
たとえばマイクロソフト王国を築いたビル・ゲイツ氏でさえ、年に2週間のぼっち時間を持つという話は有名です。彼もやはり、ひとり考える時間を大切にし、そこでじっくりと経営戦略を考えるのでしょう。
孤独は創造力の源泉である
富裕層が孤独を好むもう一つの理由は、クリエイティブなアウトプットを生み出すためです。
インターネットの普及やメディアの多様化によって、こんなに情報量が増えたにも関わらず、なぜクリエイティブなアウトプットができる人と、そうでない人がいるのか。
結局、情報や知識を得ること単体では価値を持たせることはできず、それをどう編集・加工していくかが重要だということがわかります。
そしてそれには、ひとりになる時間が必要です。他人が入り込むとそこで思考が中断されますが、ひとりでいれば、誰にも邪魔されず、得た情報をもとに黙々と分析したり自分のイメージを膨らませたりすることができるからです。クリエイティブ人材は、そうやって孤独の中からアウトプットを生み出すのです。
たとえばスパイダーマン、超人ハルク、Xメンなどのアメリカン・ヒーローを生み出してきた天才スタン・リー氏はこう言います。
「私にとって、他人とは知的好奇心を刺激し、たのしませてくれるものなんだ。だから多くの人とかかわることは、私にとってとても必要なこと。でもその刺激は、そのままでは形にならずに流れていくだけ。その刺激が何かを生み出すためには、ひとりにならなければならないんだ」