月1万円の予算でどれだけラクできるか
「日本の働き方を変えたい」と3年前に二つの会社で正社員として働くダブル正社員を経験した蓑口さん。当然ながら時間的余裕はなく、常に顔には吹き出物が……。「時間がほしい」という気持ちが心の底からわき上がったときに、シェアサービスの利用に踏み切りました。そんな蓑口さんが最初に決めたことは、予算だったとか。
「予算は月に1万円まで。これなら1、2回の飲み代でまかなえるかなと。月1万円でいろいろな困りごとを誰かにお願いしようとノートに書き出しました」
「料理めんどい」「名義変更どうしよう」「結婚式の準備どうしよう」……書き出した困りごとに対処できるシェアサービスを探し、実際にアクションを起こした蓑口さん。そのうち家事代行や書類作成代行、名義変更の事前リサーチについては大きな成果があったと言います。
「名義変更に関しては、結婚によってマイナンバーを変える、運転免許証を変える、パスポートを変える、それにひもづけてクレジットカード、銀行の口座と、自分の契約しているあらゆるサービスの住所と名義を変えなければいけないですよね。私自身、個人事業主登録をしていたこともあり、より複雑でどの順番でどこに行けばいいのかわからなかったんです」
確かに、名義変更は面倒くさい手続きの一つ。蓑口さんはこの手続きのどの部分をどうアウトソースしたのでしょうか。
「東京都のこの区に住んでいて、ここに住民票があって……という情報をお出しして、『結婚して名義変更したいのだけど、一日半の有休で全部変えられる方法をリストアップして、タスク表にして出してください』とお願いしたんです。そうするとマイナンバーから変えなさい、次は運転免許証です、運転免許証はこの日にここに行きなさい、持って行くものはこれだよと、同じ区に住んでいた方がリサーチしてタスク表を作ってくれたんです。費用は約3000円でした。そのタスク通りに行動すると、本当に1日半で終わってしまった。自分でやっていたら2カ月くらいかかっていたかもしれません」
一方、結婚式の準備依頼は失敗だったと言います。
「結婚式は人生で一回しかないので、どういうことをお願いすればいいのか、私自身がわかっていませんでした。そういう1回きりのもので、自分もゴールのわからないものはシェアでやらないほうがいい。伝えるのに時間がかかるだけで何も成果が得られませんでした。そういう意味でも予算を決めておいてよかったですね」
「女性ラクしなさい条例」ができたら
蓑口さんは最後に会場にむかって質問を投げかけました。
「月に1万円、必ずシェアサービスを何かお願いすることになったら何をお願いするでしょうか。日本で『女性ラクしなさい条例』ができて、明日から使わないといけないとしたら、何をしますか?」
会場では活発なディスカッションがあり、掃除洗濯から小鳥の世話をお願いしたいという意見まで多くのアイデアがでました。