「女性管理職は女性部下に厳しい評価を下しがち」「女性は女性から仕事の協力を得にくい」……。心理学の研究が、職場には男女のバイアスが存在することを明らかにしています。「女の敵は女」という状況がつくりだされるメカニズムに迫ります。
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女の敵は女なのか

「女性は女性に厳しい」とはよく言われることですが、それを裏付ける研究報告があります。それは上司から部下の方向だけに見られるものではなく、部下から上司に対しても同様のことが生じることがわかっています。

今回は評価や攻撃、仕事の協力体制における男女のバイアスについて取り上げます。

中でもとくに女性の上から下への厳しい評価や攻撃は「クイーンビー症候群(Queen Bee Syndrome)」と呼ばれます。日本ではまだまだ聞きなれない言葉です。ところが、もう40年以上前の1970年代ミシガン大学の心理学研究者によって始めて提唱されて以来、欧米では多くの反響を呼んでいます。“クイーンビー”とは、管理職についている女性で、部下の中でもとくに女性を陰湿にいじめる人のことを指す言葉です。

米メリーランド大学の研究に、20年にわたる1500社のデータを用いて、クイーンビー症候群の存在を検証する統計的分析を行なったものがあります。分析の結果、1人の女性が上級管理職に就いたときに、2人目の女性がそのポジションに就く可能性は、女性が初めて上級管理職につくことができる可能性に比べて、51パーセントも低くなったのです。やはり「女性の敵は女性」なのでしょうか。