装着すれば5年そのままでOKの、子宮内避妊具も登場!
出産経験があり、ピルでは毎日の服用が煩わしいと感じる女性には、子宮内避妊具がオススメだ。
「ピル以外で女性が行う避妊方法には、IUD(子宮内避妊具)と呼ばれる器具を子宮内に装着するタイプがあり、今はT字型のものが主流。さらに同じT字型でも、黄体ホルモンが付加されたIUS(子宮内黄体ホルモン放出システム)が最近注目されています」
IUSは、黄体ホルモンを子宮内に持続的に放出するシステム。子宮の入り口の粘膜を変化させることで、精子が膣内から子宮内へ進入するのを妨いだり、子宮内膜を薄くすることで、受精卵の着床を妨いだりする。避妊効果はもちろん、経血量を減らし、月経痛を軽くする効果もある。また、装着後は最長5年間効果が持続するため、ライフプランが立てやすいのも特徴。装着をやめればすぐに妊娠が可能になるという。
「40歳まではピルを服用し、それ以降、50歳くらいまではIUSを利用するのがいいでしょう。40代だからといって絶対に妊娠しないわけではありません。すでに子どもがいて、それ以上子どもを望まないのであれば、IUSで確実に避妊を。もちろん、20代、30代の経産婦でも、次の妊娠はまだ先と考えている人、ピルを毎日飲むのが面倒と感じる人には、IUSがオススメです」
未産婦でも相談に応じてくれる場合もあるので、興味のある人は、まずは婦人科の医師へ相談してみよう。
銅付加IUD(子宮内避妊用具)
メリット
●1度の装着で数年にわたる長期の避妊が可能
●毎日避妊のことを考える必要がない
●授乳中でも使用できる
デメリット
●経血量が増えることがある
●医師による装着・除去が必要
失敗率
(理想的な使用により)0.6%
(一般的な使用により)0.8%
IUS(子宮内黄体ホルモン放出システム)
メリット
●1度の装着で数年にわたる長期の避妊が可能
●毎日避妊のことを考える必要がない
●経血量が減少する
●月経痛が軽減する
デメリット
●装着後初期に月経時以外の出血が続くことも
●医師による装着・除去が必要
失敗率
(理想的な使用により)0.2%
(一般的な使用により)0.2%
出典:バイエル薬品冊子「IUS」より一部編集
万が一、避妊をせずに性行為に至ってしまった場合(コンドームの破損、レイプなどの性被害など含む)、妊娠の可能性におびえる女性もいるだろう。そんなときは、速やかに婦人科を受診し、緊急避妊用「アフターピル」を処方してもらおう。「アフターピル」は排卵を遅らせる(または排卵させない)、受精卵を着床させない作用により、妊娠を回避するもの。ただし、性行為後72時間以内のなるべく早くに服用するのがマストで、それ以降は効果が低下するそうなので注意が必要だ。
アフターピル(緊急避妊薬)
メリット
●無防備な性行為後の妊娠の可能性を低減
※服用しても妊娠する可能性がある
デメリット
●性行為後、72時間(3日)以内の服用がマスト
●計画的な避妊には使用不可
●医療機関での受診・処方が必要
●服用後24時間は授乳禁止
妊娠阻害率
84%(排卵日付近での性交で妊娠を防ぐ率)
出典:KEGG HP内「ノルレボ」医薬品情報を参考に編集部作成
ライフプランを円滑に進め、心軽やかに人生を送るため「避妊」は大切な要素となるが、いずれの避妊方法も100%避妊できるとは限らない。中絶を選択したことで悩み続ける女性も多い。意図しない妊娠リスクはもちろん、病気リスクを下げるためにも、20代から「かかりつけ婦人科医」を持ち相談することが大切。また、親に知識や情報がなければ、子も正しい知識を持つ機会が少なくなる。もし、あなたに娘がいるならば小学生の頃から妊娠の仕組みや知識を段階に応じて積極的に与えることも大切。そして、自分に合った避妊方法を選びとる知恵をつけることも母親の務めだろう。
産科婦人科専門医
アヴェニューウィメンズスクリニック院長
金沢医科大卒。2009年11月、同院院長に就任。あらゆる角度からの更年期治療に精通。女性ホルモンに影響され、さまざまな不調や悩みを抱える女性のイキイキとした暮らしを応援すべく診察にあたる。
写真=iStock.com