モナコ大公も卒業した最高の教育機関

まずは世界で最も高額な教育機関の一つとされ、世界中の王侯貴族や名家、セレブリティの子弟・子女が数多く通う「ル・ロゼ学院」。1880年に設立されたスイス最古の寄宿学校の一つです。寄宿学校は“ボーディングスクール”と呼ばれ、日本の小中高校にあたります。スイスのヴォー州ロール近郊にある14世紀の古城「シャトー・デュ・ロゼ」がメインキャンパスですが、毎年1~3月の約3カ月間は欧州最高級スキー・リゾート地の一つグシュタードにキャンパスを移し、毎日午後はスキーをします。1年の間に2つのキャンパスを移動する学校は、世界でもル・ロゼだけ。在籍生400人に対して教師は約100人、授業は生徒5~6人という少人数制で行われます。生徒は世界60カ国から集まり、国際的な環境を維持するために生徒の国籍が偏らないように、一国籍10%までという上限制を採用しています。学費はかなり高額で、授業料以外に寄宿代、食費、海外就学旅行費やパーティ参加のための付帯費用などがかかります。米『Forbes』誌の調査によれば「世界で最も高額な中等教育機関」とされています。過去の卒業生には、モナコ公国大公・レーニエ3世、ベルギーの第6代国王・アルベール2世、エジプト王・フアード2世、イタリアの王族・エマヌエーレ・フィリベルト・ディ・サヴォイア、ジョン・レノンとオノ・ヨーコの息子のショーン・レノンなどなど。両親が出席する行事、パーティやスキー大会があり、親同士のコミュニケーションも大切になってきます。学業だけでなく、さまざまな行事を通して、社交術を身に付けることができる世界最高の教育機関と言えるでしょう。

ダイアナ妃が結婚前に学んだ学校

二つ目は、女性教育のために1952年に設立された、フィニッシングスクール「ヴィラ・ピエールフー」です。フィニッシングスクールとはマナーや社交上のプロトコルの基本を学び、女性としての美しい心を磨くと同時に、品格や他者への思いやりを身に付けるヨーロッパ伝統の教育プログラムです。特にこの学校では、女性が国際的な社交の場やふだんの日常生活のなかで必要とされるマナーやプロトコルを身に付けることを主眼とした教育プログラムとなっています。フィニッシングスクールは、スイス・レマン湖畔のモントルー市やその周辺には、かつて10数校点在しましたが、時代の変化とともに少なくなり、現在ではヨーロッパ全域を見渡しても、伝統的かつ体系的なフィニッシング教育を実践しているのはピエールフー1校と貴重な存在になっています。このフィニッシングスクールは、ダイアナ妃がご結婚される前に学ばれた学校として知られています。授業内容は、欧州式テーブル・マナー、食卓の席次と会話、欧州スタイルの正餐の実践トレーニング、インターカルチュラル・コミュニケーション……。私もこの学校の卒業生のひとりで、この学校で美しい環境に囲まれながら学んだ時間には、人生で最も影響を受けたと今でも思っています。