公立小と私立小はどこが違うか

長女は公立小、次女は名門私立小に通わせた経験を持つ山下さんに、公立と私立の違いについて伺った。

「やはり私立小の教育指導は公立小に比べると“手厚い”と思います。勉強面から生活指導まで、しっかりと細かく見てくれます。また、学校側の教育方針に賛同して入学したため、何か問題に直面したときでも、先生の指導法に疑問を持つことがありません。一方で公立小は、そのときの担任によって教育指導がバラバラだったりするので、疑問を持つことが多々ありました。公立小に通わせたことのメリットとして考えられるのは、“時間”と“お金”ですね。通学時間が短くて済むことと、授業料や教科書代がかからないので家計への負担が少ないこと。そして何より、近所に住むさまざまな友達ができたことです。親の職業も千差万別で、親の所得もまちまち。いわゆる“社会勉強”になったと思います」

私立小は、それぞれの校風や教育方針というものが、校長が変わってもそう簡単にはゆるがない。

一方で自治体や学校、校長や教頭の教育方針、資質、能力次第で、ありとあらゆるタイプの学校になってしまうのが現在の公立であり、裏を返せば私立以上に優れた教育が行われている公立小学校も、全国的にみれば多い。しかしその一方で、授業すら成立していない公立小も多く存在している。つまり公立小というのは、地域によってカラーが異なり、ある意味で“運次第”と言えるのかもしれない。

公立小・私立小、どちらが「正解」というわけではなく、家庭の教育方針やわが子の性格や家庭環境、住んでいる地域の状況などを夫婦で考えたうえで、小学校受験をするかしないかを“選択する”ことが大切なのではないだろうか。

学童を設置する私立小が増加

「私立小は、親への指導も厳しいという印象がありましたが、むしろ働くママを応援してくれている印象があります。子供ができないことに対して、親のせいにするわけではなく、学校側でできることをフォローしてくれ、一緒に解決策を導き出してくれるのです。成績が良くない子に対して積極的に補習授業を行うことや、子供のメンタルケアをきめ細かくしてくれるなど、親に寄り添って考えてくれます。その辺も、公立小より手厚いですね」

近年、私立小では、共働き世帯の増加につれて学童保育を設置する学校が増えてきた。

東京都港区の聖心女子学院にも「ジョアニークラブ」と呼ばれる学童保育が創設された。仕事を持つ母親のイメージがない学校なので、「あの聖心にも?」と思う方も少なくないだろう。しかし、その流れはごく自然なもの、と大山江理子校長は語る。

「本校の教育理念は“社会に貢献できる女性を育てる”です。社会の中で女性が求められる役割もどんどん変化していますが、今の時代は仕事を持つというのも1つの生き方です。本校の保護者や卒業生の多くが仕事を持ちながら子育てをしていることを考えると、やはり子供たちには本当に安心して過ごせる学童保育が必要ではないかと考えました」(プレジデントムック『日本一わかりやすい小学校受験大百科』2019完全保存版より)

学習支援だけでなく、季節の行事を取り入れたイベントなどの経験もさせてくれるアフタースクールは、ワーママの強い味方である。