評価が高い投信を買えば安心!?

Dさん 38歳・独身
総資産●1000万円(投資信託550万円、預貯金350万円、国債100万円)

人気があって規模がそれなりに大きく、プロも評価している投信なら間違いないだろう――そんな考えから、「ファンド大賞」を受賞していたり、雑誌やネットのランキングなどで高く評価されていたりした投信を選択したDさん。現時点で保有している4種類の投信はすべてアクティブ型投信だ。そもそも「優良な投信」として評価されている投信なら、無条件に安心なのかといえば、中桐さんは「必ずしもそうとはいえない」と話す。

「ファンド大賞などを受賞する投信は、その年に高いパフォーマンスを実現したものが選ばれるので、もちろん一定の評価はできるでしょう。しかし、だからといって、ぱっと飛びついて、ずっとほったらかしで持っておくのはよくありません。Dさんの場合は特に、すべてアクティブ型投信なのでこまめなチェックが必要です」

アクティブ型投信は、ファンドマネジャーの裁量で銘柄が選ばれるのが通常。ファンドの規模が大きくなるにつれて方針がぶれてくるなど、運用状況が変化しがちだ。

「カリスマファンドマネジャーが辞めて別の人になり、その投信の人気がガクンと落ちることもあります」

今キラキラ輝いている優良な投信が、ずっと輝き続けるとは限らない。

「保有している間に、何となく運用方針に違和感を覚えるようになったり、あるいは急に純資産が減り始めたりしたら要注意。その投信の“ファン”になってはダメです」

もう1つの問題点は、4本中3本が国内株式型であり、分散投資がほとんどされていないということ。

「セオリー通り分散投資すべきでしょう。利益が出ているうちに半分を売却し、全世界株式型のように実質数千種類の銘柄に分散投資をするインデックス型を積み立てていけば、バランスの取れたポートフォリオになると思います」

▼用語解説
【ファンド大賞】格付投資情報センター(R&I)の「R&Iファンド大賞」と、投信の評価機関・モーニングスターの「ファンド オブ ザ イヤー」が有名。どちらも毎年実施されている。