ゴール設定のない投資はギャンブルと同じ

失敗した相場師たちに、おおむね共通しているのは、「投資自体が目的」になっていることです。おそらく彼らを投資に駆り立てた原動力は「金が欲しい! もう貧乏はイヤだ!!」みたいな、粗くて暗くて強い衝動であり「○○を実現するために、いつまでにいくら稼ぐ」という堅実で具体的な目標ではなかったと思われます。こういう人が、なまじ投資に成功すると、やめられなくなります。暗い動機、強烈な成功体験、ゴール設定のない投資は、引き際を失ったギャンブルと同じです。いつしか彼らの思考は「マネーゲームが楽しい」だけのギャンブル脳になり、そういう人は、たとえ1000万円稼いでも、それを2倍にすることしか考えられなくなります。投資がリスクの伴うものである以上、「やめられないギャンブル」は、いつかリスクで身を焦がすことになります。リスクと達成感そのものを快感としてはいけないのです。

長期的な投資プランが成功のカギ

ならば、どうすればいいか? そう、みなさんは「明確な目的をもった投資」をしましょう。たとえば、みなさんの目的が「豊かな老後」だとしたら、そのためには「何歳までにいくら稼げばいいか」を決めてしまいましょう。「60歳までに1500万円」だとしたら、その長期的な計画に合わせて投資プランを立てます。

投資プランは、長期になればなるほど、リスクを減らす選択肢が増えます。逆に短期的な投機は、リスキーで常に市場や相場に振り回され、生活や本業に支障が出てしまいます。みなさんの多くはデイトレーダーではなく、本業のかたわら投資“も”したい方々だと思われますので、長期的な「ローリターンだけど、ほっといてもおおむね大丈夫」なタイプの金融商品を選ぶべきだと思います。さらに、今日のように金融商品が多様化していれば、分散投資で、もっとリスクを減らすこともできます。「つまらない投資だな」なんて考えてはいけません。そもそも「おもしろい投資」という発想そのものが危険です。長期でローリスクの投資というものは「貯金よりけっこうましだな」ぐらいのイメージでちょうどいいのです。