方向性と関係性のズレが次のステージに進むきっかけに

——40歳以上の方は、どういう理由で転職を希望されることが多いのでしょう?

出典元:エグゼクティブに関するトレンドや実態を調査・研究する機関 経営者JP総研「エグゼクティブの転職に関する意識調査」/エグゼクティブの転職する理由、転職しない理由とは?

【原田さん】今いる会社の成長性が見込めないからというのはよくある話ですね。あと、男性中心の風土で見えないガラスの天井のようなものがあるから、もっと自由にチャレンジできる環境に身を置きたいという理由も多いです。

【畑さん】経営・事業の方向性と経営陣との関係性のズレもあると思います。これは経営に近いセクションで働いている人に多いのですが、会社の意思決定した方向性と自身の考える方向性の間にズレが生じてくる。そのプロセスの中で、人間関係もこじれていくのかなと。この二つが合わさったときが、次のステージに行こうと決断するタイミングのようですね。

【下田さん】女性は男性に比べ、仕事が好き、面白いと感じて自分の視野や経験を広げるために転職を希望する方が多く、役職にはあまり興味がない傾向があります。職位を上げたいという理由で転職するケースは意外と少ないんですよね。

「年収800万円以上を目指す! 40歳以上の転職で求められる人物像」
●前提となるもの
・管理職経験
●面接で企業が見ている点
・思い描いたことを何かしら形にしてきた経験があるか?
→社内変革を任せられそうか
・コミュニケーション能力に長けているか?
→組織をまとめたり、社員の意識改革をしたりが期待できるか
●転職後に企業から評価されている人物像
・軽いフットワークで部門を越えて動ける人
・自責の念で周りを巻き込み、理想とする環境を作り上げる人
・過去の実績にとらわれず、新しい会社や環境に溶け込む覚悟を持って転職できる人
・担当外の仕事も面白がり挑戦できる人
●業界問わず引く手あまたな人
・デジタルトランスフォーメーションの推進や、そのための環境整備と企業内改革に携わった経験のある人
原田 周作(はらだ・しゅうさく)
大手金融サービス会社の営業本部にて法人営業、商品企画業務を6年経験。2005年より日系エグゼクティブサーチ会社に入社。2010年に執行役員、2011年から取締役就任。2013年より株式会社エグゼクティブ・ボードに参画。担当業界は、流通小売業、製造業(自動車、機械、化学など)が中心。企業の経営層との深いリレーションにより、経営幹部、管理職層の紹介実績多数。BizReach主催の「ヘッドハンター・オブ・ザ・イヤーMVP」(流通小売サービス部門)を2018年に受賞。
畑 圭一郎(はた・けいいちろう)
新卒で三越へ入社。その後、2008年に人材・組織開発のコンサルティング会社に転職。大型案件や難易度の高い案件の獲得で常時トップのコンサルティング実績を誇る。2013年経営者JPに入社。コンサルティング事業本部長として、コンサルタントチームの運営・教育に従事する傍ら、製造業・サービス業を中心に3500名以上のエグゼクティブパーソンとのキャリアコンサルティングを行う。数多くのエグゼクティブと対面してきた実体験を通して、組織の中で活躍できるビジネスパーソンには【サクセス3ポイント】があることを学びとる。
下田 由紀(しもだ・ゆき)
大学卒業後、大手金融会社で経理としてキャリアをスタート。自分の適性と志向性から営業に出たいという思いで、ミドル・フロントの経験を積み、2012年から人材業界にキャリアチェンジ。2012年中国において人材紹介会社大手のインテリジェンス中国に転職。蘇州支店マネージャーとして中国人ローカルスタッフマネジメント、中国江蘇省の日系企業向けに人材紹介(現地スタッフ、日本人)および日系企業の労務・研修サービスを提供。2014年日本帰国後、エンワールド・ジャパン株式会社に転職し、金融業界および金融専門職種等の専任コンサルタントとして従事。BizReach主催「ヘッドハンター大賞 金融部門MVP」2017年・18年と2年連続受賞。

文=福田 彩 写真=iStock.com

福田 彩(ふくだ・あや)