【4】「短所の改善より、長所を伸ばせ」の理由
数年ごとにジョブローテーションを繰り返しながら人材を育成していくことが多い日本企業と違い、外資系は、職種別採用のため、ポジションごとの役割が明確に分かれている。「求められるのはスペシャリスト。なんでもこなせるゼネラリストは強みになりません。専門性をいかに磨くかに集中し、時間を割くべき。実力主義のため、スキルさえあれば、年齢や性別に関係なく、昇給・昇進が可能です」(ホン)。「“短所は長所でカバーすればいい”というのが、外資系の考え方。この分野では誰にも負けないというスキルを身につけ、どんどんアピールしていく積極的な姿勢が大事です」(狐崎)
【5】アメリカ系かフランス系か……。本社のお国柄によってカルチャーが違う!
ひとくちに外資系といっても、本社の国籍でカルチャーは異なる。「アメリカは社内の雰囲気がフラットでチャレンジに対してポジティブですが、結果が出ないとプロジェクト単位でクビになるなど成果にシビア。ヨーロッパはワーク・ライフ・バランスが徹底していて、成果に対しては比較的緩め。特にドイツは仕事の進め方が日本企業に近いです」(狐崎)。「アメリカは何事も非常にスピーディー。ヨーロッパはプロセス重視の傾向に」(ホン)。共通するのは女性の働きやすさ。女性が少ない組織は、本国の指示で積極的に採用することもあるという。「女性専用ポジションを設けるフランス企業も」(狐崎)
【6】結果を出さないとすぐクビになるってホント?
外資系企業の最大の特徴が、徹底した実力主義。その分、常に結果が求められ、パフォーマンス次第ではリストラも……。「日本企業と決定的に異なるのが、採用時に交わす雇用契約書の存在。3カ月間の試用期間内に成果が出ない場合の処遇や、年俸やボーナスといった諸条件が明確に書かれた契約書に相互でサインします。とはいえ、試用期間内にパフォーマンスが悪いからと解雇されるケースはほとんど聞きません」(ホン)。ただし、「自分では成果を出していても、景気の動向を理由に“グローバル全体で何%解雇”など、本国の方針でクビになることもある」(狐崎)と知っておこう。
【7】「グローバルに働く」が目的なら、外資系企業は不向き
“グローバルに働きたい”と考えるなら、外資系企業への転職は、むしろ期待外れになる可能性も。「日本国内にある外資系企業は、本国にとって海外支社のひとつ。つまり、ビジネスのターゲットは日本人であり、日本の国内市場になるため、基本的に国内での業務になるでしょう。ポジションにもよりますが、海外を視野に入れた仕事に関わることは予想より少ないはず。世界中を飛び回ってグローバルに働きたいという思いを抱いている人にとっては、少々イメージと異なるかもしれません。それならむしろ、日本のグローバル企業の海外部門を目指すほうが希望の働き方に近いと思います」(ホン)
※( )内敬称略
エンワールド・ジャパン IT部門ディレクター
ユニ・ホン
ロバート・ウォルターズ・ジャパン セールス&マーケティング シニアマネージャー