宿坊に泊まり、心身ともにリフレッシュしよう

遍照尊院
創建は弘仁年間という歴史ある遍照尊院(へんじょうそんいん)。弘前藩主津軽家と檀縁関係にあった宿坊。

高野山には、現在117の寺院があり、そのうち52カ所が宿泊施設を備えた宿坊です。もともとは僧侶の住居である僧坊の一部を利用して、修行僧や参拝者を泊めていたことがはじまり。戦国時代から江戸時代には、大名や豪族が高野山の寺院を菩提寺とし、宿坊契約を結びました。現在では、一般の参詣者も利用できます。

ひと言で“宿坊”といっても、規模や設備など実にさまざまです。部屋にはテレビは置かず、純日本風のお寺らしさを大切にした宿坊から、旅館並の設備を完備した宿坊もあります。旅館でいえば仲居さんが担う仕事を、宿坊では僧侶や修行僧が担っています。身の周りの世話をしてくれるのは、作務衣姿の若いお坊さん。キビキビした身のこなしに、思わず心を打たれるかもしれません。

宿坊の醍醐味は、朝の勤行への参加や朝・夕の精進料理などの仏教体験です。宿坊によっては写経や阿字観なども体験できるので、予約する際に確認するとよいでしょう。

高野山の宿坊は精進料理も多様。豪華な精進懐石料理が自慢の宿もあります。

宿坊を選ぶ際は、部屋の設備・精進料理・仏教体験の3つのポイントをおさえましょう。

江戸時代の信仰を示す五輪塔発見!

山内の寺院である圓通寺(えんつうじ)から、16の木箱に収められた約1万5218基という多数の木製五輪塔が見つかったというビッグニュースが、高野山文化財保存会から発表されました(2019年7月1日)。

箱には「天保七年」と記されており、江戸期の高野山信仰の貴重な資料として、今後の研究が期待されています。

収蔵先は、山内に伝わる貴重な仏像や仏画などの文化遺産を、管理・保護している高野山霊宝館。現在、「第40回大宝蔵展高野山の名宝―きらめく漆工の美」(後期9月3日〜10月6日)を開催。同時に、木製五輪塔「八万四千宝塔(はちまんしせんほうとう)」の一部、約500点も初公開されています。ぜひこの貴重な機会に足を運んでください。

高野山霊宝館
和歌山県伊都郡高野町大字高野山306
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歴史の重みを知り、先人たちに感謝し、仏教体験で心身ともに清らかになる。そんな学びと癒やしの高野山の旅へ、出かけてみませんか。

吉田 明乎(よしだ・あきこ)
編集者・ライター

茨城県生まれ。働く女性のライフスタイルを軸として、国内の旅をはじめ、寺社仏閣への旅も多く取材&執筆。令和元年より全日本仏教会の広報委員会委員。著書に『高野山に伝わるお月さまの瞑想法』(祥伝社黄金文庫)などがある。