奥之院参道を歩き、日本の歴史をたどろう

空海の御廟(ごびょう)がある奥之院は、高野山で最も神聖とされる場所です。承和2年(835)、空海は印を結び永遠の瞑想行に入りました。

奥之院入り口の一の橋

御廟へ向かう約2キロの参道両脇には、高くそびえる大杉と大小20万基を超える苔むした石塔が並びます。

名もなき者の墓から、豊臣秀吉や織田信長など、誰もが知る歴史上の人物の供養塔、そして法然や親鸞など宗派の枠を超えた名僧の墓標も並び、その多様さに驚くはずです。あらゆる存在を尊重し、包み込む密教の曼荼羅の世界が、ここ奥之院にも現れています。

御廟の橋。参道を終えると、いよいよ空海が入定した大師廟のある聖域へ。一礼し、脱帽。この橋からは撮影禁止です。

奥之院には、“空海は今でも生き続け、私たちの幸せを祈り続けている”、という弘法大師信仰があります。また一方で、釈迦入滅後の56億7000万年後に弥勒菩薩が降臨し、人々を救済するという未来への弥勒菩薩信仰があり、空海は弥勒菩薩と一緒にこの世に現れると信じられています。