「規模のわりに、トラブルがほとんどない」
500人の来客、ゲストは国内外の大物たち、スタッフはすべてボランティア、会場は駅から都内から2時間近くかかるお寺……。
これは、9月に鎌倉・建長寺で行われた、マインドフルネスイベントのこと。「規模のわりに、トラブルがほとんどないんです」と運営スタッフが興奮気味に話します。
マインドフルネスを簡単にいうと、自分の感情を客観的に見つめ、物事をありのままに受け入れること。心が穏やかになり、自己効力感や集中力が高まるといわれています。
「マインドフルネスを理解している人、あるいは興味のある人たちの集まりだからですかね」と彼女は続けました。器物破損やゴミがない、来場者同士のトラブルがない、立ち見が出るほどでも席を譲り合う、たまたま隣の席になった初対面の人同士が交流する……。たしかにそこには温かい空気が流れていました。
トラブルがないという話が心に残ったのは、私自身が取材を通して感じていたこととシンクロしたからでしょう。集中的にマインドフルネスの取材をしたこの1カ月は、まるで何かに導かれるような日々でした。穏やかで、でも芯があって、幸福なオーラに包まれている。取材で会う人に共通していた点です。
時間に追われるように進めていた取材、入稿、校了作業が、ふーっと呼吸しているうちに終わっていた、そんな不思議な感覚を味わいました。
マインドフルネスをやってどんないいことがあるの? と聞かれたら。科学的な裏付けを並べるよりも、ただ「幸せになれるよ」と答えたい。
以前、食の雑誌「dancyu」のコラムで、暴飲暴食(これは仕方ないのですが)の編集者が「1カ月羊を食べ続けたら、太るどころか痩せていた!」と書いていました。痩せる科学的な根拠を知らなくても、もうこの話を聞いただけで羊肉を食べよう! と思う人がいるように、マインドフルネスもそうあればいいと思います。
苦手な人がいなくなった、怒りをコントロールできるようになった、同僚との関係が良くなった、想定外のことが起きても動じなくなった、毎日が楽しくなってきた。
これはマインドフルネスを暮らしに取り入れている人の声の一部。始めた人から幸せになっているのです。エコライフでもスローライフでもない、「マインドフル・ライフ」を始める準備はできています!