伝承によると、空海が密教の修行の地を探す旅をしていたとき、白い犬と黒い犬の2頭を連れた猟師に出会います。空海が事情を話すと、狩人は2頭の犬を放ち、犬たちにその場所を案内させました。
空海が険しい山中に入ると、今度は目の前に美しい女神が現れ、空海はその女神から高野山を譲るというご宣託を授かります。女神は高野山の地主の神、丹生都比売大神(にうつひめのおおかみ)でした。そして2頭の犬を貸してくれた猟師は、自分の御子である高野御子大神(たかのみこのおおかみ)=狩場明神だと説明されます。そして空海はさらに山中を進むと、目の前に幽すいな平地が出現。この地こそ探していた場所にふさわしいと判断し、ここに高野山開創の決意をしたとされます。
空海を案内した2頭の犬は、和歌山県原産の紀州犬だったと言われています。2017年12月、丹生都比売神社に1頭の「ご神犬」が奉献されました。真っ白な紀州犬の「すず姫号」です。毎月16日に行われる「月次祭」にてお披露目されています。ぜひ、愛らしい「すず姫号」に会いに行ってみませんか?
※2019年9月・10月はお休み。その後の詳しい日時は事前にご確認ください。
密教の世界観を感じよう
奥之院と並び、高野山の二大聖地のひとつである「壇上伽藍(だんじょうがらん)」。高野山の中心に位置し、真言密教の中核をなす一大建造物群です。その中でひときわ目を引くのが、朱色の「根本大塔(こんぽんだいとう)」。高さ約48メートルという日本初の多宝塔です。真下に立って仰ぎ見れば、その大きさに驚くでしょう。
塔内に入ると、きらびやかな色彩の立体曼荼羅の世界が広がります。奥深い密教の世界観を空海が視覚化したものです。中央にご本尊の胎蔵大日如来像、その四方に金剛界の四仏、そして五仏を囲むように柱には十六大菩薩が描かれています。